2004 Fiscal Year Annual Research Report
リチウムイオン伝導性固体電解質の開発とその薄膜作成
Project/Area Number |
16750161
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
冨田 靖正 静岡大学, 工学部, 助手 (50303532)
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Keywords | 固体電解質 / 核磁気共鳴 / 相転移 / 二次電池 / イオン伝導 |
Research Abstract |
本研究の目的は,リチウムイオン伝導性の高い化合物を開発すること及びその薄膜作製とリチウムイオン二次電池への応用である。今年度は,化合物の合成として,Li_3InBr_6のInを10種類以上の元素にそれぞれ置換した化合物を合成した。固相法による反応であるため,固溶体を形成したものと固溶体にならず混合物となってしまったものがあった。それらの化合物の交流伝導度を測定したところ,多くの化合物では,置換により伝導度が減少していたが,1桁ほど伝導度の上昇が見られた化合物があった。Brの置換では,Clへの置換で伝導性の向上が見られていたが,I置換では,伝導度が減少した。最近接イオンが大きくなることでLiの拡散障壁が大きくなったと考えられる。Cl置換化合物のNMR測定を行なったところ,大きなアニオンの歪などは確認なかったが,Li_3InBr_3Cl_3では室温においてリチウムイオンの拡散が起きていることが明らかとなった。 薄膜の作成では,Li_3InBr_6とInBr_3の混合物が得られているが,Li_3InBr_6単独の薄膜を得ることはできていない。これは,InBr_3が昇華しやすく,LiBrを少量にしないと薄膜中に取り込まれないためである。目的の薄膜を得るためには,精密な昇華量と温度制御が必要である。正極膜についてはスパッタリング法で作成できることを確認した。 全固体二次電池の作製を行なったが,Li_3InBr_6やその置換化合物を電解質として使用できることが明らかとなった。最も良い結果として起電力3V強,容量40mAh/gの値を得ている。正極・負極との相性により,電池性能は大きく影響を受けた。容量は市販電池の1/3程度であるが,実験結果から考えて,正極・負極の選択,電池の構成を検討することで飛躍的に性能改善できることが期待される。
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