2005 Fiscal Year Annual Research Report
アルキルアンモニウムを用いたマンガン酸化物ナノ構造体の電気化学形成
Project/Area Number |
16750175
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中山 雅晴 山口大学, 工学部, 助教授 (70274181)
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Keywords | 層状マンガン酸化物 / アルキルアンモニウム / 電気化学析出 / バーネサイト / 薄膜形成 / X線回折 / X線光電子分光 / ポリカチオン |
Research Abstract |
マンガン酸化物は電子とカチオンの注入によって複数の酸化状態をとる。このため,二次電池,クロミック材料,最近ではスーパーキャパシタ材料として盛んに研究されている。固相の電子伝導性はもとより,カチオンや溶媒移動のための空間が巨視的な特性を決定することから,ナノサイズで構造規制されたMn酸化物の合成は様々な分野で重要な研究課題となっている。層状Mn酸化物は負に帯電した連続的なMn酸化物層と電荷補償のためのカチオン層からなり,熱処理過程を含む様々な化学的手法により粉末として合成されてきた。一方,金属酸化物の薄膜化技術としての電気化学析出法は,電気化学パラメーターにより構造や膜厚を調整できる,電気化学的応用において導電剤やバインダーを必要としない,などの特徴がある。 本研究では,過剰のアルカリ金属あるいは四級アルキルアンモニウムイオンを含む水溶液中でMn^<2+>イオンを定電位アノード酸化するというきわめて簡単な手法により,バーネサイト型層状Mn酸化物が多結晶白金電極上で薄膜形成することを見いだした。アルキルアンモニウムイオンはそのC_2回転軸がMn酸化物シートに対して垂直になるようにモノレイヤーとして収容されており,層間距離はアルキルアンモニウムのメチレン鎖が長くなるにつれ増大した。アノード生成したMn酸化物は負に帯電しており,この負電荷を中和するために電解液中のアルキルアンモニウムカチオンが自己集合すると考えられる。さらに,この手法はカチオン性の強電解質ポリマー(ポリジアリルジメチルアンモニウム塩化物)にも適用でき,Mn酸化物ベースの層状ナノコンポジットの新しい合成法として提案した。
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