2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16750188
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀中 順一 京都大学, 工学研究科, 助手 (00313734)
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Keywords | AFM / 高分子鎖 / レオロジー / 力学 / 弾性 / ポリスチレン |
Research Abstract |
平成16年度は、分子レオロジーのデータを測定するためのAFM装置の仕様変更、測定試料とするための両端に官能基を有する一分子が平滑な基板上に孤立して結合した系の構築を並行して行った。AFM装置の仕様変更に関しては、既存の装置にピエゾステージを組み込みカンチレバーの挙動と連動させるしくみを完成させる作業を行った。カンチレバーの動きをナノメートルレベルで検知するための光テコも独自に作製したが、検出精度の点において引き続き改良する余地がある。測定試料の作製に関しては、代表的な合成高分子として分子量分布が狭いポリスチレンを選択しその主鎖の両端に異なる官能基を有したサンプルを得た。このサンプルを使用しまず石英基板上に片方の分子鎖末端を結合させる形で分散させ、続いてこの基板上に有機溶媒中でAFMのカンチレバーをゆっくりと降下させることによってカンチレバー先端の金と高分子鎖末端のチオール基を結合させた。引き続いてカンチレバーを引き上げると高分子鎖の弾性によると思われるカンチレバーを下に引っ張る力が観測された。チオール基をもたないポリスチレン鎖を用いて同様の実験を行っても、カンチレバーを引き上げるときの抗力は全く観測されなかったことからこの力は石英基板とカンチレバーの間に存在する高分子鎖の弾性によるものと考えている。このようにAFMを用いて孤立して存在する一本の高分子鎖ののびと力の関係を測定することに初めて成功した。
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