2004 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー光を用いた液体界面エネルギー測定装置の開発と液体相溶臨界現象の研究
Project/Area Number |
16760007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
美谷 周二朗 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10334369)
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Keywords | 表面張力 / 界面張力 / 液体相溶臨界現象 / 光液面マニピュレーション法 / 両親媒性分子 / 顕微鏡 / 液体微小変形 |
Research Abstract |
液体表面あるいは液-液界面は、3次元的物理現象を2次元に投影して観察することができる場であり、物理的に大変興味深い研究対象である。また、界面に固有の2次元現象としても、ある種の両親媒性分子は特定の条件下で液体界面エネルギーを消失させるという不思議な現象を起こすことが知られているが、従来の液体界面観察法では界面エネルギーの低い系を測定することは不可能であった。本研究は、レーザー光の運動量変化を利用して液体界面形状を制御する光液面マニピュレーション法を応用した液体用超低界面エネルギー測定装置を作製し、超低界面エネルギー状態で起こる液体相溶臨界現象を高精度で測定することを目的としている。 本年度は、液体界面エネルギー計測のために、レーザー光を用いた界面エネルギー測定装置を作製した。液体界面に微小変形を誘起する「光液面マニピュレーションシステム」では、ポンプ光の集光用に顕微鏡の対物レンズを使用し焦点距離4mm、スポット径1μmにまでしぼりこんだ。同時に、光強度変調にEO変調器を用いることで、励起表面波の周波数を5MHzまで向上させることに成功した。このことにより、数μN/mという超低界面張力系でも熱膨張や機械的振動によるノイズを分離することが可能となった。 また、本研究において構築した測定装置を用いて、イオン性界面活性剤を含んだ水/ヘプタン界面張力の温度依存性を調べ、ある特定の温度において界面張力が極端に低下する相溶臨界現象と同様の挙動の観察に成功した。このことは、本測定装置が数μN/mの界面エネルギーを測定するのに有効であることも示すものである。
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