2004 Fiscal Year Annual Research Report
導電性高分子/C_<60>複合体の光生成キャリアーダイナミクスと太陽電池の基礎研究
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16760010
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丸本 一弘 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50293668)
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Keywords | 導電性高分子 / C60複合体 / 光誘起電荷分離 / 有機薄膜太陽電池 / ポーラロン / 電子スピン共鳴 / 光伝導 / デバイス構造 / キャリアーダイナミクス |
Research Abstract |
導電性高分子/フラーレン複合体は、高効率光誘起電荷分離を示し、有機薄膜太陽電池としての研究も行われている。我々は、導電性高分子、立体規則性ポリアルキルチオフェン(RR-PAT)を用いたRR-PAT/C_<60>複合体を作製し、光誘起電子スピン共鳴(LESR)法などにより光生成キャリアーである非線形素励起ポーラロンを研究してきた。本研究の目的は、導電性高分子/C_<60>複合体のデバイス構造を作製し、光生成キャリアーのダイナミクスをLESRと光伝導を用いて明らかにし、変換効率との相関を調べることである。 本年度は第一に、RR-PATや青色発光性高分子ポリフルオレン(PFO)などを用いて、導電性高分子/C_<60>複合体の薄膜を作製し、光生成キャリアーのダイナミクスをLESR法で研究した。RR-PAT/C_<60>複合体では、これまで我々が発見してきた光生成キャリアーの新奇な4分子再結合過程を、異なるアルキル基側鎖長を持つRR-PATを用いた複合体で確認し、国際会議(ICSM2004)で報告した。また、PFO/C_<60>複合体にも研究を展開し、光生成キャリアーの2分子再結合過程を明らかにした。 第二に、RR-PAT/C_<60>複合体を用いて、透明ITO電極とアルミニウムまたは金電極によるサンドイッチ構造を作製し、光伝導法で研究を行った。そして、RR-PATの光伝導におけるC_<60>の複合化による効果を明らかにし、光伝導の増強がLESRでの増強と一致することを見出すとともに、電極近傍における光キャリアーの生成機構を解明した。 第三に、デバイス構造中のキャリアーの電子状態を研究するために、RR-PATを用いて金属・絶縁体・半導体構造を作製して電場誘起ESR測定を行った。そしてデバイス中に電界注入されたポーラロンのスピン状態をその場観測することに初めて成功した。
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