2004 Fiscal Year Annual Research Report
近藤効果を動作原理にもつ次世代超高速光磁気デバイスの基礎的研究
Project/Area Number |
16760013
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北川 二郎 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助手 (90346528)
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Keywords | 超高速光デバイス / 近藤効果 / テラヘルツ分光 |
Research Abstract |
次世代超高速光デバイス材料の開発を目指し,強相関電子系に属する近藤物質に着目した.このような観点から近藤物質は研究されておらず,まず近藤効果の超高速光デバイスに対する潜在能力を確認する必要がある.これは近藤効果の超高速光応答と超高速光制御可能性を調べることで見極めることができる.今年度は超高速光応答性に関して,近藤物質CeNiSnとYbB_<12>のTHz時間領域分光(THz-TDS)測定を行い,近藤効果のTHz領域での動的特性を明らかにすることを目的とした.具体的な成果を以下に挙げる. (1)現有の透過型THz分光系でATR反射測定ができるように,テフロンプリズムを自作し系を改造した.また低温環境下で測定できる様,Heガス循環式クライオスタットを導入した.またクライオスタット設置時に石英光学窓によるTHz電磁波の減衰が発生するため,高強度THz電磁波放射源をGaAs光伝導アンテナで作製した. (2)CeNiSnに関しては室温にて,YbB_<12>に関しては300Kから30Kまでの温度範囲でTHz-ATR測定を行った.ともに反射係数の振幅については精度良くデータを得ることが出来なかったが,位相に関してはデータを得ることができ,CeNiSnはDrudeモデルで説明できた.YbB_<12>も,2.5THz以上で報告されている光伝導度より推測される振舞いと定性的に一致した. (3)現段階では,反射率が1に極めて近い試料のATR信号の温度変化を測定した時,位相の変化は観測できても信号振幅の変化までは観測することは困難であると思われる.そこでプリズム-試料間に誘電体などを挟んだ改良型ATRの設計を行い,感度が向上することを計算で確かめた. (4)近藤効果の超高速光制御可能性を確かめるためのOptical Pump THz Probe (OPTP)測定系を構築した.
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Research Products
(4 results)