2004 Fiscal Year Annual Research Report
圧力変化によるタンパク質の立体構造変化と酵素活性の圧力依存性の相関
Project/Area Number |
16760014
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
鈴木 良尚 徳島大学, 工学部, 助手 (60325248)
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Keywords | タンパク質 / 圧力 / 結晶成長 / 核生成 / lysozyme / glucose isomerase / 表面自由エネルギー |
Research Abstract |
平成16年度は、各実験装置の立ち上げと、ニワトリ卵白リゾチーム斜方晶系(o-HEWL)結晶・グルコースイソメラーゼ(GI)結晶・α-キモトリプシン(α-CHT)結晶を用いて100MPaまでの溶解度測定と、核生成頻度・結晶成長速度に及ぼす圧力効果を明らかにする予定であった。しかし、ニワトリ卵白リゾチーム単斜晶系(m-HEWL)結晶の結晶成長速度が高圧力下で速度論的に促進されるという現象が明らかになり、o-HEWL結晶とα-CHT結晶の替わりに急遽このm-HEWL結晶の研究を行うことに計画変更した。 m-HEWL結晶とGI結晶について、まずは結晶成長速度に及ぼす圧力効果に関する実験を行った。その結果、m-HEWL結晶とGI結晶の双方とも、圧力印加によって速度論的に結晶成長速度が増加することが明らかになった。特にGI結晶の結果は世界で初めて圧力が結晶の成長を速度論的に促進したことを示したものである(J.Phys.Chem.B 109)。更に二次元核成長の多核成長モデルで解析した結果、GI結晶についてはステップレッジ表面自由エネルギーの減少が加圧に伴う結晶化の促進の原因であることが明らかになった。また、m-HEWL結晶では、それに加えて、ステップ上のキンク間距離の減少もしくは結晶化の各素過程における活性化エネルギーの減少の可能性もあるということが明らかになった(Cell.Mol.Biol.50)。 核生成頻度に関しては、GI結晶についてのみ実験を行ったが、加圧によりやはり速度論的に核生成頻度が促進されることが明らかになった。この結果については現在投稿準備中である。核生成頻度が速度論的にも促進されるということは、高圧力下X線結晶解析用のキャピラリー中での結晶化も容易に出来ることを意味している。平成17年度以降は実際に高圧力下での結晶構造解析を実施していく予定である。
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Research Products
(2 results)