2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16760024
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中村 浩次 三重大学, 工学部, 助教授 (70281847)
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Keywords | 磁壁 / 強磁性体 / 反強磁性体界面 / ノンコリニア磁性 / 第一原理計算 |
Research Abstract |
表面や界面などのナノスケール微小領域における磁気的性質の解明は基礎科学分野のみならず磁気産業分野でも重要な課題である。本研究では、原子間(interatomicノンコリニア磁性)のみならず1個の原子内でも磁化軸の方向が異なるintra-atomicノンコリニア磁性を考慮した第一原理FLAPW (Full potential linearized augmented plane wave)法を用いて以下の理論的解析を行った。 (1)交換バイアスの理解に不可欠な強磁性体/反強磁性体界面の磁気構造の解析を行った。NiFe/NiMn界面ではNiFeとNiMnのスピン軸が直角関係にあるspin-flopノンコリニア・スピン構造が安定であるが、Co/FeMn界面ではCoとFeの磁化が同方向にあるコリニア・スピン構造が安定であることを明らかにした。また、Co/FeMn界面においてFe磁気モーメントの再配列により界面では垂直磁気異方性が生じることがわかった。 (2)W(110)基板上のFe単原子層薄膜は、バルク状態のFeで観察される磁壁に比べ、顕著に小さな磁壁幅(約6Å)を有することが最近の実験で明らかになってきた。そこで、13原子列からなるFe(110)単層薄膜モデルを用いて磁壁構造の理論的解析を行った結果、約8Åの磁壁幅をもつ磁壁構造が安定であり、実験観測と定性的に良い一致を得ることができ、磁壁内にある原子の局所状態密度が低エネルギー側にシフトし、原子スケールの磁壁形成が磁壁内の局所的な電子構造の変化に起因していることを明らかにした。また、スピン・起動相互作用によりBloch磁壁とNeel磁壁のエネルギー縮退が解け、薄膜における磁壁構造の決定にはスピン・起動相互作用も重要な役割を担っていることがわかった。
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Research Products
(4 results)