2005 Fiscal Year Annual Research Report
電子顕微鏡による貴金属微粒子担持触媒の酸化・還元状態に関する研究
Project/Area Number |
16760029
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
秋田 知樹 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 研究員 (80356344)
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Keywords | 電子顕微鏡 / 触媒 / 微粒子 / 金属酸化物 / 酸化・還元 / 金 / イリジウム / 酸化セリウム |
Research Abstract |
酸化・還元にともなう金属酸化物に担持した貴金属微粒子の構造変化を観察するために、高分解能TEM観察用試料加熱ホルダーを作製した。16年度に試作したホルダーでは機械振動が大きく、高分解能観察には適さなかったので、新たに試料加熱にはKaminoらによって開発されたタングステンフィラメントをヒーターとした試料直接加熱方式を採用した。加熱温度はフィラメント電流に対する放射温度計で較正した値を用いた。試作した試料ホルダーで500℃の加熱中でも0.235nm以下の分解能で観察が可能であることが確認できた。またCeO2担体のEELS測定を行い、担体の還元状態を調べた。960℃で酸化セリウムの還元状態がみられた。 観察試料にはモデル触媒として金およびイリジウムを担持した酸化セリウムについて観察を行った。酸化セリウムの担体には低指数面(ファセット)を有する粉末担体を用い、貴金属微粒子は析出沈殿法により担持した。酸化処理は大気中で焼成炉を用いて行った。Ir/CeO_2試料では大気中で焼成後、酸化イリジウムとして酸化セリウムに担持されていたが電子顕微鏡内で200-300℃の加熱で金属イリジウムの粒子が生成することが確認できた。また、2-3nm程度のIr粒子は500℃の加熱で移動することが確認でき、粒子成長は粒子移動によって起こることが観察された。 Au/CeO_2試料を用いた観察ではAu粒子が拡散して消失する過程を観察することができた。その結果金微粒子の成長は粒子移動を伴わず、原子拡散により成長が進むオストワルト成長であることがわかった。 また、金微粒子は加熱により拡散するが、700℃の加熱中でも、消失する直前まで結晶格子像が観察されており、溶融して拡散するのではなく、固体の結晶を保ったまま原子拡散が起こっていることがわかった。
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