2004 Fiscal Year Annual Research Report
パルス強磁場下における高機能形状記憶合金の磁歪の高速応答性の研究
Project/Area Number |
16760045
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
左近 拓男 秋田大学, 工学資源学部, 助教授 (80271964)
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Keywords | 形状記憶合金 / 磁場誘起歪み / パルス磁場 / 強磁場 / マルテンサイト / 巨大磁歪 / 磁化 / アクチュエータ |
Research Abstract |
現在、機械や電子機器などの工業材料は極めて多く開発されているが、これらの機器の小型化、省エネルギー化に伴い、より小さく高機能な材料の開発が求められている。マイクロマシンにおいては極めて小さなスイッチ等の電子部品や機械部品が必要となるが、その材料としてはマルテンサイト変態により大きな磁歪を示す形状記憶合金(遷移金属合金)が有用であると考えられている。本研究では、パルス磁石を用いたFe-31.2%Pd単結晶の磁場誘起歪みの研究を行なった。この物質は磁場誘起強磁性体であり、形状の変化と磁気的な変化を同時に観測するためのシステムを開発した。歪みによる試料の長さの変化を直接観測できるように、キャパシタンス法で測定する。試料の下部に電極を銀ペーストで取り付けることにより試料自体を片側の電極とした。もう一方は銅板で作成した電極である。キャパシタンスブリッジ(Quadtech 1615A)と、デジタルロックインアンプを組み合わせて3端子法でキャパシタンスの変化を測定する。パルス磁場は周波数にすると80Hz程度なので、発振器からブリッジへのバイアス電流を60kHzに設定し測定を行なった。同時に、ピックアップコイルを使った誘導法により磁化を測定した。キャパシタンスと磁化のデータはデジタルオシロスコープを通じてパソコンに取込まれる。液体窒素温度付近の80Kまで試料を冷やして測定した結果、磁場が印加されると磁化、歪みともに大きく変化した。1回目の歪みは0.4%であった。複数回励磁を繰り返すと歪みは小さくなった。これはvariant(兄弟相)の変化が少なくなったせいであると考えられる。今回の実験で、80Hz程度のパルス磁場中でも大きな歪みが発生することが分かった。転移温度より温度を上げて再度冷却することで複数のvariantをもつマルテンサイト相が復活し、再度巨大歪みが発生することが分かった。
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Research Products
(3 results)