2005 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーコンプトン散乱による生体観測用卓上軟X線顕微鏡の開発
Project/Area Number |
16760049
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
黒田 隆之助 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 研究員 (70350428)
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Keywords | 軟X線 / レーザーコンプトン散乱 / 逆コンプトン散乱 / 量子ビーム / 高性能レーザー / 加速器 / RF電子銃 / 光源技術 |
Research Abstract |
本研究は、高品質電子ビームと高出力レーザーによるレーザーコンプトン散乱を用いて軟X線を生成させ、システムのコンパクト化、安定化、X線収量増加、撮像方法の研究を行い、生体観測用卓上軟X線顕微鏡の開発を目指すものである。 16年度にコンパクト化に成功しており、本年度はまず、安定な軟X線生成を行うため、位相フィードバック回路を開発し、時間同期システムを向上させ、1ps以下の安定度を得た。また、位相安定化により、電子ビームのエネルギー安定度も向上し、電磁石による集束時の空間ジッターも改善され、空間的安定化にも成功した。また、軟X線の収量増加に関して、電子ビームのエミッタンス向上、及びフラッシュランプ励起によるレーザー増強を行なった。特に、電子ビームのエミッタンスについては、フォトカソードへのレーザー入射方法を3パターン検討、スリットスキャン法によって精度良く測定することで、「プロファイル整形+斜入射」法を確立し、2倍以上のエミッタンス向上に成功した。今後、光学遅延装置のエネルギー損傷閾値の問題を克服(材質やコーティングを工夫)することで、1桁以上のX線収量増加が見込まれる。 X線撮像に関して、まず、化学増幅型フォトレジスト法を検討し、露光方法にプレ照射法を用いることによって、従来のフォトレジスト(PMMA等)に対し、1桁以上の高感度化に成功した。同時に、軟X線CCD法を検討し、計算機による可視化システムを構築、バックグラウンド測定まで行うことに成功した。今後は、バックグラウンドを軽減することにより、'実際の軟X線による撮像を行なっていく。 以上、本研究により、安定な卓上軟X線源は実現され、更なる収量増加は必要だが、将来的には、高感度レジストを用いた分解能数nmでの撮像や、軟X線CCDによるリアルタイム撮像によって、生体観測用顕微鏡としての実現性は十分可能であると言える。
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Research Products
(6 results)