2005 Fiscal Year Annual Research Report
アフィン演算を用いた非線形常微分方程式の精度保証付き数値計算
Project/Area Number |
16760058
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮田 孝富 金沢工業大学, 工学部, 講師 (30329114)
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Keywords | 常微分方程式 / 初期値問題 / 精度保証付き数値計算 / 区間演算 / アフィン演算 / wrapping effect |
Research Abstract |
初期値問題の精度保証付き解法においては、一般に真の解曲線の包含を求めることを目的とする。そして、初期点から遠く離れた場所にいたるまで解曲線をシャープに包み込み続けることを目的とする(初期値問題における長時間積分問題)。しかし、このことは最悪値を保証するという区間演算の性質上、実現が困難な問題でもある。R.J.Lohnerは、初期値問題の長時間積分を効果的に実現するうえで、Wrapping Effectが大きな阻害要因となることを指摘し、実際にWrapping Effectの影響を軽減する工夫を凝らしてみせた。しかし、他に多く提案されてきた手法も含めて、これらはいずれもWrapping Effectの影響を完全に排除したものではなかった。現在に至るまで、Wrapping Effectの影響を完全に排した初期値問題の長時間積分は実現されていないと言ってよい。 本年度は解の候補者集合と、その積分作用素による像との間の包含(Schauderの不動点定理が成り立つための条件)を調べることで解の存在判定を行っていたが、計算の各ステップにアフィン演算(Affine Arithmetic)を用いた場合の判定をどう行うかについて検討した。 アフィン演算は1回の非線形演算ごとに誤差項を表すダミー変数が導入されるが、項数の増加が長時間積分を行う障害になっていると考え、アフィン演算でそれまで定義されていなかった減次を定義した(電子情報通信学会主催の国際会議「非線形問題とその応用シンポジウム」に投稿中)。 減次の方法は、アフィン演算における変量の表現形式(アフィン形式)を保ちつつ行われなければならないが、減次された項に関しては同類項のまとめができなくなることを示した。
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