2004 Fiscal Year Annual Research Report
生体骨構造のマルチスケール性を考慮したリモデリングメカニズムに関する研究
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16760071
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
東藤 正浩 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10314402)
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Keywords | 骨組織 / 階層構造 / 骨梁構造 / 皮質骨微細構造 / コラーゲン / アパタイト / X線回折 |
Research Abstract |
本研究「生体骨構造のマルチスケール性を考慮したリモデリングメカニズムに関する研究」では,骨の微小構造解析に基づき,マルチスケール性を考慮した再構築メカニズムを明らかにすることを目的とする.平成16年度では,マクロおよびミクロスケールでの骨組織形態観察および力学的挙動観察を行い,以下の研究成果が得られた. 1.三次元CTデータ画像を用いた骨内部構造モデリング 骨組織構造の三次元計測手法としてX線CTがある.本研究では,まず巨視的な形態観察として,得られたCT画像から皮質骨と海綿骨領域を分離する手法を考案した.また微視的な形態観察については,海綿骨骨梁構造は従来のX線CTでも計測可能だが,皮質骨微細構造の三次元計測は困難である.そこで放射光に基づく単色X線μCTを利用することにより骨内の脈管路を含む皮質骨微細構造を三次元的に可視化することを可能にした. 2.海綿骨力学特性と骨梁硬さの関係 骨は構造要素そのものが構造を有する階層構造をとっているため,その力学特性を知るには骨の各スケールにおける特性とその相互関係を調べることが重要である.海綿骨は梁・板状の骨梁が網目状構造をなし,配向性や多孔性を有する.そこで本研究では,骨梁単体の微小硬さ試験およびX線解析を行い,海綿骨構造特性と骨梁の力学特性の関係,また骨梁内のHAp含有量と骨梁硬さについて調べ,海綿骨の力学異方性と骨梁の力学特性の関係について検討した. 3.X線回折による骨組織中コラーゲン-アパタイトの力学的挙動観察 骨組織は,構造要素そのものが構造を有する階層構造であり,スケールによって様々な複合化形態をとり,全体として最適な材料特性を実現していると考えられる.そこで本研究では,骨組織のコラーゲン-アパタイト構造に着目し,X線回折により外的負荷に対するコラーゲンおよびアパタイトの応答を観察し,その力学的挙動を明らかにした.
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