2005 Fiscal Year Annual Research Report
アルミ系ナノ結晶合金における高温疲労現象の解明とその耐疲労設計手法の提案
Project/Area Number |
16760073
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
植松 美彦 岐阜大学, 工学部, 助教授 (80273580)
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Keywords | 疲労 / 微小疲労き裂 / き裂進展 / 超微細結晶粒 / アルミニウム合金 / 高温環境 / 粉末冶金法 / 摩擦攪拌接合 |
Research Abstract |
粉末冶金法で作成した超微細結晶粒P/Mアルミニウム合金,および比較材として鋳造アルミニウム合金AC4CHを用い,小型炉を具備した平面曲げ疲労試験機により室温,200℃および250℃において疲労試験を実施した.その結果,微細粒材は室温環境下では介在物あるいは粉末粒界を起点としてき裂が発生することが判明した.また温度上昇とともに疲労強度は低下する.しかし,温度上昇に伴う疲労強度の低下量,剛性の低下量などは,鋳造アルミニウム合金に比べて非常に小さいことが判明した.さらに,レプリカ法による微小疲労き裂進展挙動観察とき裂進展速度評価から,結晶粒を微細化したことにより,温度上昇にともなう疲労き裂進展抵抗の低下が生じていないことを明らかにした.しかし,温度上昇とともに原料粉末界面の強度低下が生じるため,疲労き裂発生寿命は低下する.すなわち,原料粉末の接着性向上と介在物除去により,高温下でも十分な疲労強度を有する材料の開発が可能と考えられる.また,粉末冶金法で作成した超微細粒材は,温度上昇による強度や剛性低下が鋳造材よりも小さく,き裂進展速度の温度依存性も小さい.すなわち,高温環境下における利用に適しているが,これは結晶粒が超微細化されているのみでなく,希土類金属や遷移金属のように,アルミニウム中での拡散係数が小さな元素を添加しており,それによって形成されるAlとの金属間化合物の耐熱性が良好なためであることを明らかにした. さらに,摩擦攪拌接合時の温度上昇と強塑性変形によって生じる,動的再結晶を応用して結晶粒を微細化した,6061-T6アルミニウム合金の疲労挙動についても検討した.その結果,微細化の過程で析出硬化物が再固溶部するため,疲労試験中に生じる動的時効硬化が,疲労破壊挙動に大きな影響を及ぼすことを明らかにした.
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Research Products
(2 results)