2005 Fiscal Year Annual Research Report
位相共役波のセカンドハーモニクスの研究とその非破壊検査への応用
Project/Area Number |
16760083
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Research Institution | Kobayasi Institute of Physical Research |
Principal Investigator |
山本 健 (財)小林理学研究所, 圧電応用研究室, 研究員 (10370173)
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Keywords | 位相共役波 / 非線形圧電性 / PZTセラミックス / 超音波 / セカンドハーモニック |
Research Abstract |
位相共役波による第2高調波(セカンドハーモニック)の発生と走査型映像系の製作を目標に研究を行った. 前年度に製作した位相共役発生装置を走査型映像系へ組み込み,位相共役波を用いた超音波画像を得ることに成功した.走査型映像系には,昨年度作成した2軸の高精度位置決めが行えるXYステージを走査系として用いた.受信信号はデジタルオシロスコープでA/D変換又はFFT処理後,パーソナルコンピュータにて画像化及び保存を行った.音波発生及び電界発生系のトリガ信号は,ステージコントローラーの出力を利用し,ステージ位置との同期を図った.画像化する対象として水の音響インピーダンスと大きな差がない寒天を用いた.寒天には塩を添加して音速を変化させたり,砂糖を混ぜて吸収係数を変化させたりした.通常の超音波を用いた手法と位相共役波を用いた手法を比較検討し,位相共役波の波面歪補正能力を検証することができた. 画像化実験と平行して位相共役波のセカンドハーモニックの発生実験を行った.水中で収束超音波の焦点近傍における基本波とセカンドハーモニックの振幅分布を観察するための実験を行った.最初に,メンブランハイドロフォンを焦点近傍で走査し,基本波の2次元振幅分布を測定した.オシロスコープのFFT機能で2周波同時観測を行い,セカンドハーモニックの検出に努めたが発生効率が低いために測定は行えなかった.現段階では,位相共役波の基本波の発生効率が劣るために実験系の非線形による高調波成分やノイズとの分離が困難であった.セカンドハーモニックの発生及び検出には,位相共役波の高出力化が最も重要となるため,引き続き発生装置及び非線形圧電素子の改良を行い,発生効率の向上を目指すことが課題である.
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