2004 Fiscal Year Annual Research Report
超高アスペクト比を有するカーボンナノチューブを用いた高機能複合材料の開発
Project/Area Number |
16760086
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
安原 鋭幸 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (70282829)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 樹脂基複合材料 / 射出成形 / 機械的特性 / 繊維長 |
Research Abstract |
当初はCVD装置を用いてカーボンナノチューブ(CNT)を合成する予定であったが,並行して行っている研究により,CNT単体の強度は,グラフェンシートの完全性(CNTの品質)に大きく依存していることが明らかになったため,より高品質なCNTを合成できるアーク放電法を採用して合成装置を試作した.内製のCNTとマイクロ射出成形機(学内既存設備)を用いて,次年度複合材料の機械的・電気的特性を調べる. これらに先立ち市販のCNT(主に直径20nm,80nm,150nmの3種類)を用いてポリプロピレン(PP)との複合材料の射出成形品について機械的・熱的特性を調べた.その結果,機械的特性としてヤング率に注目すると,PPのみで1.4GPaから30wt%の複合材料では3.0GPa程度まで向上した.しかし,従来の炭素繊維を利用した場合に良い一致をみせるCoxおよびHalpin-Tsaiの短繊維複合材料の複合則において,複合材料のヤング率は(1)CNT単体のヤング率,(2)繊維配向,(3)繊維長に大きく依存するが,実験結果とCNTのカタログ値(長さ10〜20μm)を用いて算出した結果を比較すると実験結果が理論強度を大きく下回ることがわかった.(ここで,CNT単体のヤング率をTEM中での実測値の400GPaとして計算した.)そこで,成形前および成形後のCNTの長さをSEM中で観察した結果,大半が3〜5μmとカタログ値より大幅に短いことが確認された. 同様に,市販のCNTを用いてPP/CNT複合材料の熱伝導率を測定した結果,測定方向に平行に配向させた場合に,大きく向上させることができることがわかった.CNT30wt%PPではPP単体の場合と比較して約10倍の値が得られた.なお,CNT濃度が30wt%以上になるとCNT繊維の配向がランダムになるため樹脂流動方向の影響は小さくなることがわかった.
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