2004 Fiscal Year Annual Research Report
金属箔を対象としたエッチング支援微細せん断法の開発
Project/Area Number |
16760088
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
廣田 健治 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 講師 (50273256)
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Keywords | 微細加工 / せん断 / エッチング / 塑性加工 / 金属箔 |
Research Abstract |
本研究では,せん断加工の微細化を阻んでいる要因として「金型の嵌合」と「破断分離」を排除することを考え,塑性変形により輪郭に沿って最薄部を与え,その部位をエッチングにより除去して分離を達成する「エッチングを援用した微細せん断法」を提案し,低コストかつ高精度な微細せん断技術の確立を目指して基礎的な検討を行った.微細電子部品として加工要求の多い板厚100μmのベリリウム銅泊を用いて実験を行った結果,提案した方法により以下の有用な知見が得られた. 予成形の与え方とエッチング方法を変えた4つの方式に関して検討を行った結果,いずれにおいても,バリ,破断面のない分離面を得ることができた.なかでも,予成形による輪郭断面を保護し,対面側から残り板厚をエッチングする方式において,最も形状精度のよい分離面が得られた. レジストを用いない方式では,製品の片面をエッチング除去することになるが,その際の板厚と表面粗さの変化を調べた結果,1辺10mm程度の領域であればエッチング量によらず板厚のばらつきは見られず,エッチングによる粗面化も,圧延状態の表面粗さRa=0.08μmから,約40μmのエッチング後にRa=0.4μmに増加する程度であった. エッチング工程において,予成形がエッチング速度に及ぼす影響について検討を行った結果,成形により凹部が形成されると溶液の循環が悪化しエッチング速度が低下すること,ならびに,成形により塑性ひずみが与えられるとエッチング速度が増加することを見いだした.本実験ではこのような相反する2つの現象が混在し,エッチング速度が向上する場合と低下する場合が生じたが,それでも予成形により所要エッチング量を低減することですべての方式で通常のエッチングよりも加工時間を短縮することが可能であった.
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