2005 Fiscal Year Annual Research Report
硬脆材料の極微小切削における脆・塑性境界温度の測定と工具刃先の熱損傷に関する研究
Project/Area Number |
16760095
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
佐藤 昌彦 鳥取大学, 工学部, 講師 (50244512)
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Keywords | ダイヤモンド工具 / セラミックス / 微小切削 / 刃先温度 / 温度測定 / 放射温度計 / 光ファイバ / 工具摩耗 |
Research Abstract |
単結晶ダイヤモンドでセラミックスを微小切削した際の工具刃先温度の測定を行った.また,切りくず生成による被削材破壊形態の観察,工具摩耗の観察を行った.被削材には炭化ケイ素,ジルコニア,窒化ケイ素を使用した.工具の形状は角すい形,1回の切削長さは15mmである.切削速度は17.6m/s,切込みは0.5〜7μmとした.温度計には光ファイバと赤外線検出2色素子を組み合わせた温度計を使用した.工具であるダイヤモンドは赤外線に対して透光性を有しているため,切削中に工具と切りくずとの接触面から放射された赤外線は工具を透過する.その赤外線を工具裏面から光ファイバで検出することにより刃先温度の測定を行った.炭化ケイ素を切込み2μmで切削した場合,工具刃先温度は約1200℃であった.被削材に残された切削条痕はほぼ全面的に脆性的な破壊からなっていた.工具刃先には被削材の凝着が生じていたが摩耗は生じていなかった.ジルコニアを切削した場合,切込みが0.5μmでは,切削条痕には脆性的な破壊は見られず,塑性変形型の切りくず生成となっていた.切込みが1μmを超えると条痕には脆性的な破壊が観察され始め,切込みが5μmを超えると条痕のほぼ全面で脆性的な破壊となる.このときの工具刃先温度は,切込みが0.5μmの場合で約2200℃,切込みが1μm〜7.5μmでは約2500℃であった.脆性的な破壊領域では切込みが刃先温度に及ぼす影響は小さいといえる.また,脆性的な破壊形態での刃先温度より,塑性変形型の破壊形態における温度の方が低いことが明らかとなった.被削材を窒化ケイ素とした場合,切込みが2μmにおいて工具刃先温度は2500℃を超える温度が測定されたが,測定値のばらつきは大きい.工具には被削材との擦過痕が観察され,3種の被削材の中では工具損傷への影響は最も大きかった.
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