2004 Fiscal Year Annual Research Report
小型精密機器の健全性評価のための摩擦音による接触状態診断システムの開発
Project/Area Number |
16760104
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
STOIMENOV Boyko 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60361119)
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Keywords | 摩擦音 / 摩耗 / 表面粗さ / 健全性評価 |
Research Abstract |
鋼のピンと平板を繰り返し滑り摩擦させることにより,摩擦音を発生させる試験を行った.この時,無潤滑,潤滑接触の二つの状態を研究した. 無潤滑状態の繰り返し滑り接触では二つの過程に区別することができる.最初の過程は約30サイクルにおける約0.2の比較的低い摩擦係数を持つ最初の過程と,2つ目の過程は約100-2000サイクル間における0.55の比較的高い摩擦係数を示す. 無潤滑での繰り返し滑り試験において2つの過程間の移行は,表面が粗くなったり擦り減ったりすることによって特徴づけられる.これは,40-42dBから50-52dBまで,音圧レベル(SPL)が増加することと伴っている.ピンと平板の表面が最初のうちで,または滑りの間で粗くなる場合,摩擦音のスペクトル密度(PSD)の周波数ピークは約0.7kHzに見ることができる. 無潤滑接触でのSPLはピンと平板の粗さ組み合せに依存し,同様の粗さの場合は,次式によって表すことができる。 SPL=A_s(R_a)^<B_S> ここで,As=532とBs=0.11は,実験的に得られた係数である. 潤滑状態の滑り接触でも,2つの過程で区別することができる.最初の過程において,約1000-1500サイクルの摩擦係数は,μ=0.10-0.11である.2つ目の過程は,約1500サイクルを過ぎると摩擦係数がμ=0.14まで増加した.比較的低い摩擦である最初の過程でのSPLは,50から約42dBまで徐々に減少した.摩擦がより高かった2つ目の過程のSPLの値は,摩擦係数が低かった試験の最初の過程の値と等しいか,それよりも低かった.PSDピークのうち1つは,サイクル数の増加において徐々に変化している.最初のサイクルで約1.8kHzに見られたPSDピークが,10000サイクル後には約4kHzまで変化した. 潤滑接触の場合,SPLと表面粗さの間には明らかな関係が見られなかった. SPLの変化やPSDピーク周波数シフトは,表面粗さ,摩擦係数のような接触状態の変化を示す.つまり,無潤滑接触において,摩擦音により摩耗表面粗さを評価できる高い可能性がある.
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