2004 Fiscal Year Annual Research Report
関節軟骨のトライボロジー機能構造構築のマイクロバイオメカニクス
Project/Area Number |
16760111
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
澤江 義則 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (10284530)
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Keywords | 関節軟骨 / 軟骨細胞 / 潤滑 / メカノトランスダクション / 構造化 / II型コラーゲン / プロテオグリカン |
Research Abstract |
本研究では,軟骨組織内に生じる圧縮・せん断ひずみや応力分布に着目し,力学的負荷により生じる組織内物質輸送や軟骨細胞の代謝応答が,軟骨表層部におけるトライボロジー機能構造構築に大きな役割を果たすと仮定し,その詳細なメカニズムを探ることを目的とする. 本年度は,生体内において軟骨組織が経験する圧縮・せん断を含む二軸負荷を再現し,スキャホールド内において三次元培養中の単離軟骨細胞に負荷するための二軸負荷装置を作成した.装置は細胞を培養するためのCO_2インキュベータと,その内部に直交配置された二軸のリニアアクチュエータからなり,アクチュエータを外部のPCにより変位制御することにより,培養中のスキャホールドと軟骨細胞に圧縮・せん断ひずみを加える.装置は現在動作試験中であり,次年度はこの装置を用いた培養実験を行う. 装置の作成と同時に,二軸負荷下におけるスキャホールド内の物質輸送現象,および細胞代謝により産生された細胞外マトリクスによる組織構造形成を評価するための,蛍光観察手法の確立を行った.物質輸送の可視化実験では,蛍光標識したタンパク質を含むPBS中に所定の時間浸漬した試験片を共焦点レーザー顕微鏡により観察し,得られた蛍光像の輝度分布よりスキャホールド内部への蛍光タンパク質輸送を評価した.実験では細胞濃度および培養日数の影響について検討した.また構造形成評価の実験では,単離軟骨細胞をスキャホールド内にて最大4週間培養し,蛍光抗体染色法を用いて産生された細胞外マトリクスを可視化した.その結果,適切な初期細胞濃度を与えることによりスキャホールド内にII型コラーゲンによる立体構造が形成され,それとともに試験片の弾性率が上昇することが確認された.このことから,細胞代謝によるII型コラーゲンの産生と組織化が,組織の力学的機能発現と密接に関連することが明らかとなった.
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Research Products
(2 results)