2004 Fiscal Year Annual Research Report
血流異常に起因する各種病変進行プロセスの数値シミュレーション
Project/Area Number |
16760117
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊澤 精一郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90333856)
|
Keywords | SPH法 / 密度均一化アルゴリズム / 熱拡散 / 自由表面 / 移動境界 |
Research Abstract |
本研究では、計算手法として粒子法の一種であるSPH(Smoothed Particle Hydrodynamics)法を採用している。これまでの研究においては、ももとも圧縮性流体の運動を解析する方法として出発したSPH法を非圧縮性流体に適用するために、各タイムステップに粒子数密度を一様化させる独自のアルゴリズムを開発するとともに、流入・流出の境界条件や粘性の取り扱い、それに壁面の構成方法など基礎的な事柄に関してはすでに検証が進んでいる。本年度は、新たに、熱の移動を取り扱うアルゴリズムに加え、自由表面と移動境界を有する流れへの適用を行った。これは、血管壁の収縮や血流に含まれる赤血球や白血球などの物質を模擬するために必要なモデルを開発するためのものである。熱の移動に関してはベナール対流を、さらには表面張力と浮力も作用する流れ場として油中に蝋が封入されたインテリアランプを、また自由表面と移動境界のある流れとしては人工造波機を取り上げシミュレーションを行った。その結果、定性的には概ね妥当な結果が得られた。また、熱拡散と塩分拡散が同時に起こる2重拡散を含む流れとなるソルトフィンガーについても計算を試み、簾状の特徴的な分布を再現することにも成功した。一方、血管壁面にかかるせん断力などを計算するための第一段階として、まず一様流中に置かれた円柱に作用する圧力を密度補正中の粒子挙動から算出した。せん断力に関しては理論値とおおむね一致したのに対し、圧力については理論と大きく異なる結果となった。これは、壁面垂直方向の粒子の運動が密度補正アルゴリズムに敏感で、圧力が過大にあるいは過小に評価されてしまったためであると考えられる。この点については、今後の検討課題である。
|