2005 Fiscal Year Annual Research Report
低コヒーレンス光を用いたスペックル干渉法による断層流速計測
Project/Area Number |
16760118
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三神 史彦 千葉大学, 工学部, 助手 (40272348)
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Keywords | スペックル / 低コヒーレンス干渉 / SLD光源 / マイクロ流体チップ / ヘレ・ショウ流れ / PTV / PIV / マイケルソン干渉計 |
Research Abstract |
本研究では,低コヒーレンス干渉を利用して,特定断面のトレーサ粒子の運動を検出し,流れ場を計測することを目指す.この方法は可視化のためのレーザシートを必要としないため,観測窓が一つでよいという特長がある.本年度は実際の流れ場の計測を試み,本手法をマイクロ流体チップ内の流れに適用した.SLD光源を用いてマイケルソン干渉計を構成し,参照鏡をハーモニックドライブ機構の微動ステージによってシフトし,測定断面を選択した.トレーサ粒子の運動をCCDカメラで撮影し,連続する二時刻の差の絶対値画像をパソコンで合成した.差の絶対値画像には,特定断面のトレーサ粒子の移動情報のみが,二重露光画像として記録される.流路幅4.5mm,厚さ30μmのヘレ・ショウセル内に焦点間距離300μmの双曲線型の絞りのある,マイクロ流路内の流れを測定した.トレーサ粒子に粒径5μmのナイロンビーズを用いて,差の絶対値画像からトレーサ粒子の移動距離を測定し,PTV計測を行った.SLD光源に流す電流が20mAと弱い場合には,奥行き方向の速度分布は放物線状となり,ヘレ・ショウ流れの理論解と一致した.しかし,電流が40mAになると,奥行き方向の速度分布はほぼ一定になり,理論解とは異なる結果となった.一方,断面内の速度ベクトルの向きは,電流が20mAと40mAの場合では差がなく,双曲線型の絞りを通過するポテンシャル流れの理論解とも一致する結果となった.このことから,SLD光源の出力が物体光を直接検出できるくらいに強くなると,特定の断面以外の情報が混入してしまう問題があることがわかった.より粒径が小さいミルクをトレーサ粒子として用い,高密度のトレーサ粒子画像から自己相関によるPIV計測も試みた.正しい向きの速度ベクトルが一部では得られたが,過誤ベクトルも多いため,課題を残した.
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