Research Abstract |
本研究は,軸対称キャビティ流れの特性を利用して,流線型物体のスケルトン化という新たな空力技術の創出を目指すものである.スケルトン化とは,気流にさらされる物体から外皮構造を排除し,キャビティをわたる剪断層をもって外皮の代替とする技術である.適切な形状のキャビティを組み合わせることで,通常の流線型物体と同等の空力特性が得られる.スケルトン化のメリットとして,構造の空疎化による軽量化や,外皮構造の排除による空力形状可変機能があり,輸送システムの空気抵抗低減,内燃機関の熱効率向上など,様々な効果が期待できる. 平成16年度は,スケルトン化技術の実用化に向け,空力/構造設計用データベースの充実につとめた. 第1に,円錐キャビティが下流境界層分布に与える影響について,CFD解析によるパラメトリックスタディと超音速/遷音速風洞設備での検証試験を実施した.その結果,L/D(キャビティ長さLと深さDの比)の小さいキャビティを複数組合せた方が,L/Dの大きい単一キャビティよりも境界層厚さを低減できることを実証した. 第2に,高速圧力計測装置を導入し,キャビティ形状と圧力振動の関係について調査した結果,キャビティL/Dと外部流Mach数によって振動レベルと周期が大きく変化すること,また,L/Dを1以下にすれば振動レベルを大幅に抑制できることを示し,スケルトン構造の成立性を実証した. 第3に,様々な形態のキャビティを設けた円錐/円筒模型に作用する空気力を,超音速/遷音速風洞設備を用いて計測した.その結果,L/Dの小さいキャビティであれば,抗力係数にはほとんど影響しないことを示すとともに,スケルトン化により,円錐部の空力中心が,30%(円錐高さ)後方に移動し,空力安定に寄与することを示した。 来年度は,これらの知見をもとにスケルトン化した超音速インテークの実証研究を進める.
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