2004 Fiscal Year Annual Research Report
超音波を付与したナノ粒子分散液体中の過冷却凝固を利用したナノメタル組織制御
Project/Area Number |
16760166
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Research Institution | Toyama National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
義岡 秀晃 富山商船高等専門学校, 商船学科, 助教授 (80259845)
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Keywords | 凝固 / 組織制御 / 過冷却 / ナノ粒子 / 超音波 |
Research Abstract |
超音波を付与したナノ粒子分散液体中における過冷却凝固の基礎的メカニズムの解明と、それによるナノメタル組織制御の可能性を追究することを目的に、ナノ粒子が分散した溶融液中に超音波を付与した過冷却凝固の実験を行った。計画の初年度である本年度は、ナノメタル製造に対して効果的な超音波の投入方法と過冷却の設定方法を明らかにすることを第一目標としている。得られた成果を以下に列記する。(1)超音波が付与された場での結晶成長を直接観察可能な実験装置を組み上げた。浸水タイプの超音波発振子を用いて超音波送受信回路を制作し、周波数1〜15MHz、発振強度0.1〜1Vの範囲で安定な正弦波を確認した。(2)観察された結晶成長の過程は、壁面核生成に始まり、結晶の自由成長、局所平衡のもとでの肥大化および平衡のもとでのマトリックス層の出現からなる。これまで代表者らが進めて来た過冷却凝固の速度論モデルを修正し、より高精度なモデルに発展させた。(3)超音波が付与された場では付与しない場に比べて、凝固初期に現れる過冷却度は低減した。このときの結晶構造は微細なものとなり成長方位の指向性が向上することが観察された。(4)100nmのポリシチレン微粒子ならびにシリカ微粒子を混濁させた場合、上記凝固プロセスには変化はないが顕微鏡観察で結晶界面を明確に捉えることができなかった。この原因としては、粒子による光の乱反射と結晶構造の微細化が関連していると考えられる。以上、超音波による液体中のナノ微粒子の規則分散・配列までに至っていない。微粒子をミクロスケールに配列するには振幅の増大と定在波音場の形成が必要である。効果的な超音波投入方法としては、音波長の腹での反射を利用した重ね合わせによって定在波振幅を増大することや円筒形の容器を用いて反射減衰を軽減するなどの工夫が必要である。ナノ微粒子の結晶成長への影響も含めて今後の課題となる。
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