2005 Fiscal Year Annual Research Report
超音波を付与したナノ粒子分散液体中の過冷却凝固を利用したナノメタル組織制御
Project/Area Number |
16760166
|
Research Institution | Toyama National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
義岡 秀晃 富山商船高等専門学校, 商船学科, 助教授 (80259845)
|
Keywords | 凝固 / 組織制御 / 過冷却 / ナノ粒子 / 超音波 |
Research Abstract |
本研究は、超音波を付与したナノ粒子分散液体中における過冷却凝固の基礎的メカニズムの解明と、それによるナノメタル組織制御の可能性を追究することを目的としたものである。前年度に引き続き、超音波による液中微粒子の整配列化とミクロ構造の固定に対するシミュレーション実験を行い、次の結果を得た。まず、改良された装置のもとで微粒子分散水中に超音定在波を投与することにより、混入微粒子が規則的に繊維配列した液体ミクロ構造が形成されることが確認された。繊維間隔は音波の半波長に等しく、高周波になるほど縮小する。また配列に要する時間は発振面と反射板との距離を調節し共鳴点に設定することにより短縮する。次に、得られたミクロ構造を固定するための凝固実験を行った。ここで凝固の熱的源資としては過冷却と外部冷却を設定している。過冷却された場では、固液界面は樹枝状の形態となり微粒子からなる繊維配列の固定は達成されなかった。一方、外部冷却支配の場では平らな界面のもとで凝固が進行し、形成された液中ミクロ構造が凝固相に固定されることが明らかとなった。しかし、固液界面が進展し界面前方に自然対流が発達するようになると微粒子の配列が破壊され、液中ミクロ構造の固定が困難となる。発熱源である発振子を上方に設置するなどの対流を抑制するための工夫が必要である。以上、微粒子分散凝固層を得るのに効果的な実験条件が明らかになるとともに本製造原理による新素材開発の可能性が示唆された。しかし製造方法の確立と材料設計の最適化を図るためには、超音波が付与された微粒子分散液中の結晶成長メカニズムを解明する必要があり、界面での微粒子の掃出・捕捉現象を含めて今後の課題となる。
|