2004 Fiscal Year Annual Research Report
分数階微分を用いた制御器による、ある非線形システムの設計法に関する研究
Project/Area Number |
16760186
|
Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
池田 富士雄 高知工業高等専門学校, 機械工学科, 助手 (30353337)
|
Keywords | 制御系設計 / 分数階微分 / 非線形システム / 飽和要素 / ギアバックラッシュ |
Research Abstract |
分数階微分(Fractional Calculus)を用いた数理モデルである分数階微分方程式モデル(FCモデルとよぶ)に基づく制御系は、従来の整数階微分方程式モデルに基づく制御系に比べて、本質的に非線形要素に対してロバストであることが理論的に明らかにされつつあり、実験的にもその有効性が確認されている。本研究での目的は、非線形要素の種類を陽に考慮することなく設計することができ、かつ調整も容易な、FCモデルに基づく制御系設計法を提案することである。そして非線形要素の一種であるアンプの飽和や、ギアのバックラッシ、摩擦などに対してFCモデルを適用し、計算機シミュレーションおよび実験的検証により、提案した設計法の有効性を示すことである。 本年度の当初の計画は、FCモデルが非線形要素に対してロバストな理由を明らかにするため、分数階微分の定義面から性質、および動特性を解析するとともに、数値シミュレーションによって確認することであった。そこで、当初の計画のとおり、制御系設計ソフトウェアMatlabを用いて数値計算を行い、sin波やその他の初等関数、さらに制御系でよく用いられる関数に関する分数階微分の値を求めた。これにより、本研究の対象とする分数階微分のはたらきや性質を確認し、理解を深めることができた。さらに、分数階微分を用いた数理モデルに基づく制御器の特性(周波数特性、時間領域での応答特性)を、Matlabを用いた数値実験により確認するとともに、従来の微分方程式系の特性と比較することにより、どのような非線形要素に対してロバスト性を有するのか、その種類およびクラスを定量的に把握し、考察を行った。
|