2005 Fiscal Year Annual Research Report
生体の脚運動制御機構のモデル化と,それを応用した二足着地・走行ロボットの制御
Project/Area Number |
16760214
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中山 学之 独立行政法人理化学研究所, 生物制御システム研究チーム, 研究員 (80332344)
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Keywords | 腱駆動型ロボット / 適応制御 / 漸近安定性 / 受動性 / ヒューマノイドロボット / 反射 / 小脳 / 計算モデル |
Research Abstract |
本研究課題では,まず生体の脚運動制御機構のモデル化を行った.生体において前庭脊髓反射系と小脳虫部がバランス姿勢の回復・維持に重要な働きをすることが知られている.このうち前庭脊髄反射系は姿勢の乱れを瞬時に補償するように働き,小脳はその反射系に適当な抑制をかけることで安定したバランス回復動作を実現することに寄与する.このような反射による姿勢の乱れの補償と,小脳による過剰な反射成分の抑制という制御構造はバランス補償に限らず,生体の運動制御のいたるところで見られる統一的な制御構造である.そこで,バランス制御構造をモデル化するために,本研究ではまず,随意運動を司る伸張反射系とそれを適応的に抑制する小脳外側部のモデルを構成した.設計された制御モデルは,姿勢の乱れを瞬時に補償するポジティブフィードバックループと,過剰な反射成分である躍度を推定し,反射系から除去する適応制御系から構成される.このモデルによって制御された手足の運動の安定性は,リアプノフの直接法に従って証明される.そこで次に,この制御モデルをバランス制御問題に拡張することを試みた.その結果,バランス姿勢からのずれを検知する床反力モーメントを直接重力で打ちように前庭脊髄反射系のモデルを構成し,過剰な姿勢修正成分(慣性力に相当)を適応的に推定して反射系から取り除くように小脳虫部のモデルを構成することによって,漸近的に安定なバランス補償制御系が構成されることが示された.構成されたモデルによって制御された系は前述の随意運動制御モデルによって制御された系と等価になり,その漸近安定性も理論的に証明することができた.また,これと,先行研究によって構成された適応型コンプライアンス制御系を結合することで漸近安定な二足着地動作が実現されることも示された.提案した制御系の有効性は,これまでに幾つかの計算機シミュレーションによって確認されている.
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