2004 Fiscal Year Annual Research Report
レーザアブレーションによる触媒ならびにカーボンナノチューブの一貫プロセス-成長位置・長さ・直径の制御-
Project/Area Number |
16760240
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
須田 善行 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (70301942)
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Keywords | カーボンナノチューブ / レーザアブレーション / 化学気相堆積 / 成長制御 / 触媒 |
Research Abstract |
本研究では、レーザアブレーション(LA)と化学気相堆積(CVD)とを融合した新規手法によりカーボンナノチューブ(CNT)の成長制御を試みる。本年度は研究計画を一部変更し、電気炉内において触媒付き基板を加熱し、そこに炭素LAプルームを供給することでCNTを成長させた。CNT用成長触媒としては、スパッタにてNi、Fe膜を堆積した他に、Dip coat法により、PdNi、Pd、Ni薄膜を用意した。Pdは高温でも安定してCH_4を分解する触媒として知られる。主な結果として、(1)1000℃以上にて、いずれの触媒からもCNTが成長した、(2)CNTを透過電子顕微鏡で分析したところ、内部にも炭素が詰まったファイバ構造であることが分かった(以下、CNFと呼ぶ)。(3)触媒の膜厚を薄くするとCNFは細くなった、(4)電気炉の温度を上げるとCNFは太くなった、(5)雰囲気ガスであるArにH_2を添加することで、アモルファス微粒子等がほとんど含まれないCNFが合成された。触媒については、FeよりはNiの方が高密度にCNFを成長させ、PdNiからはさらに高密度にCNFが成長することが分かった。また、基板上におけるPdNi膜の密度を制御することで、島状構造が作成されることも明らかとなり、CNFはこれらの島同士を架橋するようにも成長した。本実験で用いた実験装置は、気相中で単層CNTを合成するために設計された装置であり、触媒入りグラファイトのLA実験も行なった。KrFレーザを用いたところ、1100℃にて内部が中空なCNTが作成された。以上より、触媒付き基板からはCNFが、気相中ではCNTが成長するという結果が得られ、両者がそれぞれどのように成長するのか、非常に興味深い。次年度はこれらの成長機構に着目して、最終的に成長制御を達成すべく研究を進める。
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