2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16760241
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森田 剛 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (60344735)
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Keywords | 水熱合成法 / 強誘電体薄膜 / エピタキシャル / チタン酸ジルコン酸鉛 / チタン酸鉛 / アクチュエータ / 圧電効果 |
Research Abstract |
水熱合成法は水溶液中での化学反応を利用した強誘電体成膜方法で、200℃以下という従来にない低温合成が可能である。申請者は、基板としてチタン酸ストロンチウム単結晶基板を用いて、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の超高品質エピタキシャル薄膜を成膜することに成功している。本研究では、この薄膜をセンサやアクチュエータへ応用するために、大面積に厚いエピタキシャル薄膜を合成し、その評価と改良を行うことである。 今年度は、まず水熱合成法の成膜プロセスの解明の手掛かりを得るため、透過型電子顕微鏡(TEM)による薄膜断面の観察を行った。試料はPZTの固溶体組成の一部であるチタン酸鉛(PTO)とした。その結果、薄膜は完全に分極が成膜面に対して垂直な方向に向いている完全単一配向膜であることを確認した。PTOは正方晶でc/aが1.06と大きいため、通常は高温結晶化プロセスに起因する複雑なドメイン構造を有するのに比べ、本手法が超高品質な薄膜合成に有利であることを再確認した。ただし、界面においては、エピタキシャル性は完全に確保されているが、基板とPTOとの固溶体としての化学組成を持つ界面層が約20nm存在することが明らかになった。水熱合成法は高いアルカリ濃度環境下での反応であるため、基板への浸食が行われている為であると予想される。 成膜速度については、PTO成膜において24時間の反応では100nm厚であったのに対して、成膜速度が鉛イオン濃度に依存することを明らかにしすることで1μmと10倍に改良した。さらに、反応溶液内での乱流を抑制する基板支持方法を開発し、7.5mm角の基板を用いた場合、従来の約4倍の5mm角で均一な成膜が実現された。今後は、これらの薄膜を用いて圧電効果の検証を行っていく予定である。
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