2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノワイヤーアレイ構造を用いたバリスティック磁気抵抗素子に関する研究
Project/Area Number |
16760244
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小峰 啓史 茨城大学, 工学部, 助手 (90361287)
|
Keywords | ナノワイヤー / 磁気抵抗効果 / バリスティック / マイクロマグネティクス / 第一原理バンド計算 / 磁壁散乱 / 陽極酸化 / グラニュラー薄膜 |
Research Abstract |
今年度は、ナノ接合系で発現する可能性のあるバリスティック磁気抵抗効果(BMR)についての理論的な検証およびナノワイヤーアレイ構造の作製方法を検討した。 BMRの理論的な検証として、ナノ領域における磁化状態の解析およびナノワイヤーアレイ構造の電子状態解析を行った。ナノ領域における磁化状態解析には、マイクロマグネティックシミュレーションを用いた。BMRはナノ接合に閉じこめられた磁壁によるスピン依存散乱であることが示唆されており、ナノ領域における磁壁閉じこめの可能性を数値計算の立場から明らかにした。その結果、ナノ接合の接合幅、長さおよび周辺の形状が狭ければ、磁壁幅が減少することを定量化したが、単純な形状の変化だけでは磁壁閉じこめが起こり得ないことを示した。磁壁閉じこめのための具体策として、接合部での磁気モーメント間の交換結合に着目し、接合部と電極部の交換結合が小さいときに磁壁閉じこめが起こり得ることを定量的に示した。これらの成果については後述した学術誌論文で発表した。さらに、第一原理バンド計算を用いて、Niナノワイヤーアレイ構造の電子状態についても解析を行った。その結果、Niワイヤー中の電子の干渉効果から、Niワイヤーのコンダクタンスが長さに対して振動的に振る舞う現象を発見した。この結果を日本応用磁気学会学術講演会にて報告した。詳細については現在さらに検討を進めている。 ワイヤーアレイ構造の作製方法として、アルミナ陽極酸化によるナノホールの作製を試みた。基板上に作製したアルミニウム薄膜を硫酸浴中で陽極酸化処理して、100nm系程度のナノホールが作製出来た。現在、条件を詰めてナノホール径の制御を行っている。一方で、新しいナノ接合作製方法として、磁性グラニュラー中間層を用いたナノ接合の作製を行った。Ni-Si-Oグラニュラー薄膜の成膜条件を検討して、数nm径のNiグラニュラー膜の作製に成功した。今後、これら試料の磁気抵抗効果を測定して、新しい磁気抵抗効果であるBMRの原理実証を行い、素子応用への指針とする。
|