2004 Fiscal Year Annual Research Report
シリコンマイクロ構造体上圧電型センサアレイの共振周波数チューニング
Project/Area Number |
16760255
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 馨 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (40263230)
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Keywords | ダイアフラム / 多層膜 / 残留応力 / 静的撓み / 共振周波数 |
Research Abstract |
活性層厚2.5μm,中間酸化膜層厚1μmのSOIウェハを用いて、異方性エッチングによりダイアフラム構造を形成し、活性層Si(2.2μm),熱酸化SiO_2(400nm),下部電極Pt/Ti(220nm),圧電層PZT(1μm),上部電極Au(200nm)の積層ダイアフラムを基本として構造を作製した。44mm角(φ2インチウェハ相当)上に196個の素子を作製し、特性評価を行った。静的な最大撓み量は触針式段差計を用いて計測した。これは、触針庄を変えてダイアフラムのプロファイルを測定し、各プロファイル中の最大撓みの値を触針圧に対してプロットして、点間を結ぶ直線を触針圧0まで延長した切片を以て静的最大撓み量とした。また、Demirらの方法[1]を利用して最大撓み量から構造内部の残留応力を求めた。これによると、構造各層がダイアフラム全体の撓みに寄与する影響は、応力換算でSiO_2:-81MPa, Pt/Ti:-306MPa, PZT:136MPaとなり、従来考えられていたよりもPt/Ti層の影響が大きいことが新たに判明した。これらの結果を利用して、Pt膜厚を増やすことにより撓みの増大、PZT膜厚を増やすことにより平坦化、と静的撓み量を制御することが可能となった。また静的撓みの方向は、ダイアフラム構造がリリースされる瞬間の応力により決定されると考えられるため、支持層の異方性エッチングを完了するタイミングとPt/Ti層の製膜のプロセス順序を制御することにより、リリースされるダイアフラム構造の撓みの向きを制御することを試みた。異方性エッチング完了前にPt/Ti層を製膜することで約70%の素子を上向きに、また異方性エッチング完了後にPt/Ti層を製膜することで約90%の素子を下向きにと、ほぼ所望の方向に制御することに成功した。ダイアフラムの撓み方向は共振周波数に影響を与えると考えられるが、今のところ他のパラメータのばらつきも大きく共振周波数との完全な相関はとれていない。今後、条件のそろった素子構造で撓み形状を制御することにより、共振周波数との相関を求めることによりチューニング精度の向上が期待される。 [1]I.Demir, A.L.Olson, J.L.Skinner, C.D.Richards, R.F.Richards, D.F.Bahr : Microelectronic Engineering,75(2004)12-23.
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