2004 Fiscal Year Annual Research Report
液体中でのパルスアーク放電を利用したカーボンナノ粒子の高効率合成法
Project/Area Number |
16760257
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
今坂 公宣 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助手 (40264072)
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Keywords | パルスアーク放電 / カーボンナノ粒子 / 高効率合成法 / カーボンナノチューブ / カーボンオニオン / 水中間欠アーク放電 / 浮上物 / 沈殿物 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ、フラーレン、カーボンオニオンなどに代表されるカーボンナノ粒子は、半導体性や導電性、電子放出などの電気的性質に優れているため、電子デバイスの電気材料として極めて有力な材料である。ナノ粒子の合成法の一つである水中でのアーク放電法は、気体中でのアーク放電法と比較して簡便な合成法であるが、生成効率が低いという問題がある。この水中アーク放電法では、水の冷却作用がカーボンナノ粒子の合成過程に影響することが指摘されている。本研究では、アーク放電を直流ではなくパルス化したパルスアーク放電の利用とナノ粒子の合成過程における周囲媒質の冷却効果の観点から、温度の著しく異なる液体として、水、液体窒素や液体ヘリウムを用いることにより、これらの液体中でのパルスアーク放電によって、カーボンナノ粒子を高効率に合成することを目的とする。 本年度は、主にアーク持続時間に着目してカーボンナノチューブの生成と生成効率の向上を目的とした「水中間欠アーク放電法」を提案してカーボンナノ粒子の生成を行った。得られた主な結果を以下にまとめる。 (1)水中間欠アーク放電による生成物は、従来の直流アーク放電法のように陰極表面には堆積せず、均一に水に分散した後、時間の経過とともに浮上物と沈殿物に分離することを明らかにした。 (2)浮上物からは直径が約20nmの多数の凝集したカーボンオニオン、沈殿物からは多層カーボンナノチューブが得られた。 (3)これらの生成物について直流アーク放電法との生成効率を比較検討した結果、間欠アーク放電における電極損耗量に対するカーボン煤生成量は、直流アーク放電よりも3倍程度増加した。 以上より、本研究によって従来の水中直流アーク放電法よりも高効率にカーボンナノ粒子を生成することに成功した。
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