2005 Fiscal Year Annual Research Report
シリコン太陽電池の高効率化に向けたCu(In,Ga)S_2薄膜の成長と構造の検討
Project/Area Number |
16760259
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
大石 耕一郎 長岡工業高等専門学校, 機械工学科, 助教授 (90300558)
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Keywords | Cu(In,Ga)S2 / カルコパイライト構造 / 溶融法 / 光音響分光法 / 太陽電池 |
Research Abstract |
本研究は、将来的にSiとCu(In,Ga)S_2のヘテロ接合太陽電池やSi太陽電池とのタンデム構造を検討することを目的として計画した。平成17年度は、溶融法により組成を変えて作製したCu(In,Ga)S_2結晶について結晶学的・光学的に評価し、組成と禁制帯幅の対応を検討した。 試料は、構成元素単体であるCu(5N),In(5N),Ga(6N),S(6N)を3.0×10^<-3>Pa以下で石英アンプル内に真空封入し、1,150℃で溶融して作製した。InとGaの充填比率を変えて試料を作製し、EDSによる組成分析から、x=0.0から1.0の間で組成の異なるCuIn_<1-x>Ga_xS_2を得た。 粉末X線回折(XRD)により、すべての試料について正方晶系のカルコパイライト構造特有の101回折ピーク等を確認した。また、XRDパターンへのフィッティングから格子定数を算出し、組成による変化を検討した。得られた格子定数と組成の関係はほぼ線形であり、Vegard則に従うものと思われる。 組成と禁制帯幅の対応を検討するために、光音響分光法(PAS)により各試料の禁制帯幅を評価した。光音響スペクトルの信号強度は、禁制帯幅近傍で吸収係数の変化に対応して変わるので、測定によって得られたスペクトルから試料の禁制帯幅を推定し、組成依存性を調べたところ、見積もられた禁制帯幅は、組成に対応した連続的な変化を示した。高効率太陽電池に向けて、Si太陽電池をボトムセルとした2セル・タンデム構造で求められるトップセルの禁制帯幅の範囲は1.6-2.0eV程度とされているが、本年度の検討により、これに対応する組成の範囲がx=0.2-0.6であることが、実験的に示された。
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