2005 Fiscal Year Annual Research Report
フェーズフィールド法によるナノオーダー電気配線組織制御因子の決定
Project/Area Number |
16760262
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
大出 真知子 独立行政法人物質・材料研究機構, 計算材料科学研究センター, 研究員 (50370309)
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Keywords | フェーズフィールド法 / マルチフェーズモデル / 再結晶 / 配線材料 |
Research Abstract |
新規電気配線材のCuでは異常粒成長に似た特定方位粒子の成長が観察される。本研究ではこの組織形成支配因子の決定のためにマルチフェーズフィールド法を用いて結晶粒成長解析を行った。前年度はマルチフェーズフィールド法における界面エネルギーの影響を評価したが、本年度はCu配線ナノ結晶粒成長に対する界面エネルギーや界面移動度の異方性、バルクエネルギーの影響を評価した。 具体的には、界面エネルギーの異方性をRead-Shockreyの式に従うように与え、界面移動度の結晶粒の異方性はM(θ)=M_o(θ/θ_m)^n n=5として与えた。この結果、界面エネルギーの異方性は、エネルギーの高い大傾角結晶粒界の消滅を促すような組織変化を促進するが、小傾角粒界からなる正常粒成長するナノ組織になるのみで、特定の粒子の成長を促す効果が無いことが分かった。一方、さらに移動度の異方性を追加すると、大傾角結晶粒界の成長が抑制されるために、結晶粒径の平均化が起こった。つまり、結晶粒界の異方性は異常成長に対する支配因子では無いことが明らかになった。そこで、配線基材との相互作用を追加した。ここでは、基材に対するCu結晶粒の方位関係に注目し、整合・半整合等、異なる弾性拘束状態で界面が形成されると仮定して、界面相互作用に粒方位に応じて界面エネルギーもしくは弾性拘束のエネルギーを与えた。その結果特定粒子のみが優先的に成長する計算結果が得られた。つまり、Cuナノ配線組織特有の異常成長に似た結晶粒成長過程は、結晶粒界の異方性ではなく、Cu薄膜/基材間の界面エネルギー(Cuバルク由来のエネルギー)が支配することが分かった。この一連の成果は、2006年3月の金属学会において発表された。
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