2004 Fiscal Year Annual Research Report
MIMO-OFDMシステムにおける位相追跡制御に関する研究
Project/Area Number |
16760309
|
Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐波 孝彦 千葉工業大学, 情報科学部, 助教授 (60293742)
|
Keywords | MIMO-OFDM / 周波数オフセット / 位相制御 / 位相雑音 |
Research Abstract |
本研究ではMIMO-OFDMシステムにおける受信信号の周波数同期,および位相追跡制御システムの構築を目標としている.平成16年度は,まず通常のOFDMシステムにおいて,位相雑音を考慮した位相追跡に関する検討を行った.通常のOFDMシステムでは,FFT前の周波数同期において残留した周波数オフセットをさらに補正するために,パイロットサブキャリアを用いた位相追跡制御を行うのが一般的である.しかし,FFT後のパイロットサブキャリア信号の位相の検出によって行う通常の補正方法では,検出された位相そのものが残留オフセットによって生じるICI(サブキャリア間干渉)の影響を受けているために,補正精度には限界があった.さらに,受信機内部で信号のダウンコンバージョンに用いられる発振器の位相雑音を考慮した場合,受信位相は位相雑音による位相変動も受けているために,検出される位相は,残留オフセットによる位相のずれと位相雑音による位相変動の両方を含んだ形となり,通常の位相追跡制御による特性改善はそれほど見込めない. そこで,16年度はフィードバック制御を用いた位相追跡制御に関する検討を行った.前述の通り,パイロットサブキャリアにおいて検出される信号の位相は,残留オフセットに起因する隣接サブキャリアの信号との合成位相に位相雑音による変動が加わったものとなる.したがって,検出された位相から周波数オフセット量を求めて,FFT前の周波数同期回路にフィードバックする.フィードバック後に検出される位相変動量は,ICIによる隣接サブキャリアの影響が軽減されているはずである。これを繰り返すことによって,残留オフセットの成分と位相雑音の成分を分離して制御しようとするものである.本研究で提案した位相追跡制御を用いたシステムでは,ビット誤り率において5dB以上の改善が得られることを明らかにした.
|