2006 Fiscal Year Annual Research Report
多重電極を用いた神経インタフェースのリアルタイム信号処理システム
Project/Area Number |
16760323
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片山 統裕 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (20282030)
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Keywords | 脳マシンインタフェース / 複素独立成分分析 / 連続ウェーブレット変換 / デコンボリューション / ニューロン / テトロード / パターン識別 / 活動電位 |
Research Abstract |
ブレイン・マシンインタフェースの研究では,複数ニューロン活動の観測のために多重電極を脳に埋め込む方法が広く用いられる.この方法では,神経スパイク波形をパターン識別処理によってグループ化することにより,ニューロンごとの活動時系列を得るスパイク弁別が必要であるが,計算量が大きいことと,近接したニューロンが同時発火したときに生じる重畳スパイク波形を分離することが困難であるという問題があった.独立成分分析法が有効であることが示唆されていたが,弁別性能が十分でないことが問題であった. 平成18年度の研究では,多重電極によるニューロン観測系を畳み込み混合によってモデル化し,これを解く新しい弁別アルゴリズムについて検討した.観測された複数ニューロンの細胞外電位信号に対して連続ウェーブレット変換ののち複素独立成分分析法を適用することにより,特定の周波数帯域に着目すれば,神経スパイクの弁別精度が向上しうることを見出した.神経スパイク弁別では各スパイクの発生タイミングが求まれば良いので,主要な周波数成分についてのみ分離を行うことは計算量を低減することにもつながり,リアルタイム信号処理システムの構築のためにも妥当な選択であるといえる. 試験データを用いて分離性能を評価した.試験データはモルモットの脳組織において4重電極で記録した実験データに基づいて構成した.実数値ICAによる従来法に比べ,提案法の方がクロストーク減衰量で平均11dB優れていること,及び,分離できるニューロン数が2.4から3.6に増加することが示された.特に,複雑スパイクの弁別において大幅に弁別精度が向上すること,及び,スパイク検出のための閾値の設定において頑健性が向上することが明らかになった. 本研究成果は,脳の情報処理メカニズムの研究及びブレイン・マシンインタフェースの開発に大きく貢献するものと期待される.
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Research Products
(14 results)