2005 Fiscal Year Annual Research Report
地球プラズマ圏大規模電子密度構造の統計的解析のための信号処理法に関する研究
Project/Area Number |
16760327
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
後藤 由貴 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (30361976)
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Keywords | プラズマ圏 / 超低周波自然波動 / 電子密度分布 / ホイスラ / 統計解析 |
Research Abstract |
宇宙空間利用において最も重要な役割を果たす電磁波は伝搬路上のプラズマの影響を受けることが知られており、電離圏およびプラズマ圏の電子密度の空間構造調査は重要な課題である。しかし、プラズマ圏のグローバルな電子密度分布を推定する一般的な方法は未だ確立されておらず、統計的に調査した例は見られない。本研究では、背景プラズマと地球磁場の相互作用により伝搬特性が決まる超長波の電磁波を利用してプラズマ圏の大規模な電子密度構造を推定する手法を開発した後、科学衛星「あけぼの」の巨大データベースを利用してプラズマ圏の電子密度分布を統計的に解析することを目的としている。 本年度は、あけぼの衛星の巨大データセットから、(1)電子密度分布推定に利用するダクト伝搬およびノンダクト伝搬のホイスラを計算機により自動的に検出する手法を開発、(2)分散関係を利用してホイスラの伝搬ベクトル方向を推定する手法の開発を行った。 (1)従来、ホイスラの検出は周波数-時間(F-T)ダイアグラムから座標変換および直線抽出アルゴリズムを利用して行われてきたが、本研究ではノンダクト伝搬のホイスラも含めて検出を行うために新たにテンプレートマッチング法を導入した。これにより周波数によって伝搬経路が異なるノンダクト伝搬のホイスラに関しても自動検出・スペクトル形状の特徴量の抽出が可能となった。 (2)通常、分散関係を利用して伝搬ベクトル方向を推定する場合には、波動を観測した位置のローカルな電子密度の値が必要となるが、電子密度の値も含めて伝搬ベクトル方向をフィッティングするアルゴリズムを考案した。ここで、電磁界の理論的な関係を考慮し、未知数の増加に伴う計算時間の増加を最小限に抑えるよう工夫した。 今後はこれらの成果を基に、あけぼの衛星の巨大データセットを用いて、電子密度分布の統計解析を行う。
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