2004 Fiscal Year Annual Research Report
相互結合された複雑系のシンクロナイゼーションに基づく状態予測
Project/Area Number |
16760349
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
小口 俊樹 東京都立大学, 工学研究科, 講師 (50295474)
|
Keywords | 複雑系 / カオス同期 / 状態予測 / 非線形システム / 制御系設 |
Research Abstract |
複雑系の研究において,むだ時間の存在により低次元システムにおいてもカオス的挙動が生じることが知られている.また,カオス系を複数結合する際に,そこにむだ時間を介在させることで,複雑系の同期に基づいた予測が生じることが報告されている.このように,非線形システムにおけるむだ時間の存在は,有限次元とは異なる現象が生じることが知られている. 本研究は,特に応用物理の分野において実験的に研究されてきたカオス系の同期に基づく状態予測であるAnticipating synchronizationを複雑系の状態予測器の設計問題として捉え,カオス力学系と制御理論の双方からアプローチすることにより,非線形むだ時間システム,とりわけむだ時間を含む複雑系に対する新たな制御理論の創出を目的としている. 本年度においては,研究代表者らが導出したシンクロナイゼーションに基づく同期現象の発生可能性とその限界に関する十分条件の緩和を行うため,システムパラメータ変動や外乱などの摂動を有するむだ時間非線形システムに対するロバスト安定性,および実用安定性のための条件の導出を行った.この結果,Anticipating synchronizationの際のカップリングゲインの設計が低次の線形行列不等式(LMI)に帰着できることを示した.また,ここで得られたシンクロナイゼーションに基づく状態予測器の設計理論の応用として,入力むだ時間非線形システムに対する制御系設計法を提案した.これら一連の成果については,17年8月の国際会議において採択されており,発表を行う. さらに,本年度は17年度に行う実験的検証のための準備として,実験装置の製作に着手した.
|
Research Products
(5 results)