2004 Fiscal Year Annual Research Report
システム間の拘束力を陽に考慮した制御系設計に関する研究
Project/Area Number |
16760351
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
岩瀬 将美 東京電機大学, 理工学部, 講師 (50339074)
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Keywords | 拘束力 / 制御系設計 / Projection Method / 状態依存リカッチ方程式 |
Research Abstract |
本研究は拘束力を陽に考慮したより一般的な制御系設計法の確立を目指し,有効性を検証することを目的としている.本年度は基礎理論の構築と制御系設計のための数値計算アルゴリズムの検討を行った.まずシステムのモデリング手法としてProjection Methodを用いることでシステムを構成する要素間および要素と外環境間の拘束力を陽に考慮することができ,拘束力および動的システムの数理モデルを与える方法を確立した.その結果を,多リンクの直列結合からなる蛇型ロボットや倒立振子,また多リンク型と異なり一つの剛体が二つ以上の自由度を持つ系(例えば一輪車ロボット)に適用し,数理モデルを得て制御系設計を行った.この成果の一部を国内学会で発表している.数理モデルが得られたとして実際の制御系設計を行うためには,数理モデルの振る舞いが対象とする実システムの振る舞いに十分近くなければならない.望ましい振る舞いをする数理モデルのパラメータを求める同定についても取り組み,同定用テスト信号として最適なテスト信号の設計法についても研究を行った.この成果を雑誌論文として公表した.また,導出された数理モデルに基づく制御系設計として,状態依存型リカッチ方程式に基づく最適制御系を考えているが,この制御法は多量の計算を必要とする.そこで,多量の計算を行うための計算機環境の構築に努めた.二つの方法に取り組み,一つはFPGA(プログラミング可能な半導体ロジック素子)による専用高速演算チップの開発を行った.実際に設計した演算チップを用いてある非線形システムの安定化解析を行い,その成果の一部を国内学会と国際学会で発表した.もう一つの取り組みとして研究代表者の同機関に所属する藤澤助教授の協力を得て,複数の計算機を高速ネットワークで結ぴ並列計算を可能としたグリッド/クラスタコンピューティングによる大規模計算を行った.この取り組みにより一定の成果を得ているが,現在も研究を進行している.この研究成果は来年度に発表する予定である.また,実システムは必ず入力が有限(飽和する)であることから,拘束力をシステムに考慮した制御系設計の場合にも入力限界(飽和)は非常に問題となる.そこで,系に飽和要素がある場合について,その系を安定とすることができる状態やパラメータの解析を,先に述べた大規模計算機環境を用いて行った.同機関に所属する古田教授の協力のもと,実対象として倒立振子を用いて詳細に解析を行い,その結果を雑誌論文で発表した.さらにシステムに飽和要素だけでなく人間が干渉した場合について同様な解析を行い,その成果も雑誌論文にて発表した.これらの結果,成果を踏まえより安定な数値計算法およぴ目的に応じてより積極的に拘束力を制御する制御系設計について考えていく.
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Research Products
(3 results)