2004 Fiscal Year Annual Research Report
反復学習型フィードフォワード制御のためのサンプル値逆システムに関する研究
Project/Area Number |
16760352
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
十河 拓也 中部大学, 工学部, 助教授 (40273487)
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Keywords | サンプル値制御 / 反復学習制御 / 逆システム / フィードフォワード制御 / 不安定零点 / 両側ラプラス変換 / モデルマッチング問題 / 2自由度制御系 |
Research Abstract |
フィードバックを含むアナログ制御系に同一周期の0次ホールドとサンプラを接続した場合のディジタル制御系を対象とし、ディジタル制御系の逆系ともとのアナログ制御系の逆系の関係について研究を行った。とくに、もとのアナログ制御系の伝達関数に不安定零点がなくディジタル制御系の伝達関数に不安定零点が現れる場合(アナログ制御系の伝達関数の相対次数が2以上の場合)について、サンプル周期を0に近づけた場合の逆系の関係を調べた。その結果、ディジタル制御系の逆系を、因果性が満たされる条件の下で考えればアナログ制御系の逆系と一致することはなく、非因果性も許容する枠組で逆系を定義すればサンプル周期を0に近づけたとき両者が一致することが分かった。このことは、数値実験によっても検証された。 伝達関数が不安定零点をもつ場合の逆系を考える際に、非因果性を許容する枠組を持ち込むと都合が良いことが、上記のとおり明らかとなったため、この非因果的逆系の性質についてさらに詳しく検討を行った。とくに、ここまでの研究では、逆系を伝達関数から状態空間表現に変換した上で定義していたため不安定零点と逆系の関係が直接見えにくかったため、この点で便利な理論的枠組の探求を行った。その結果、これまでの制御系設計ではあまり用いられることの無かった両側ラプラス変換を利用して議論することで、逆系を伝達関数で直接定義することができることが判明した。さらに、これによってフィードフォワード制御および反復学習制御の設計問題を、H無限大最適フィードバック制御における基本問題であるモデルマッチング問題として扱えることも判明した。これによって、非因果的なフィードフォワード項をふくむ2自由度制御系のH無限大最適設計法を確立することにも見通しを立てることができた。
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