2004 Fiscal Year Annual Research Report
杭基礎と地盤の非線形性を考慮したRC構造物全体系の動的応答解析に基づく耐震設計法
Project/Area Number |
16760368
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
牧 剛史 埼玉大学, 工学部, 助手 (60292645)
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Keywords | 耐震設計 / 性能照査法 / RC構造物 / RC杭基礎 / 3次元FEM解析 |
Research Abstract |
鉄筋コンクリート(以下RC)構造物の地震時挙動は,それを支持する基礎構造と周辺地盤の挙動にも大きく影響されることから,特に強い地震動に対する耐震性能の照査に対しては,基礎と地盤を含めた構造物全体系をモデル化して,工学的基盤から基盤波形を入力する地震応答解析を適用するケースも現れ始めた。従来のように地上構造物と基礎構造物を切り離して照査する体系とは異なり,特に地盤-基礎系の応答算定精度が照査結果に如実に反映されると考えられるため,適用するモデルや境界条件などのモデル化方法の影響も含めた解析手法のさらなる高精度化および応答算定精度の絶対的な評価と,このような高度な解析手法を用いた耐震設計体系の整備が今後の緊急課題である。本研究は,基礎(特に杭基礎)と地盤を含めた構造物全体系の高精度な耐震性能照査手法の開発,そしてそれを適用したより合理的・経済的な構造系の耐震設計手法の構築を目的としている。 平成16年度は特に地盤中におけるRC杭の塑性挙動の評価を行うことを目的として実験的および解析的検討を行った。鋼製固定土槽およびせん断土槽中にRC杭を模した試験体を設置し,周囲を地盤物性値が既知の乾燥砂または湿潤砂で満たし,杭頭部に一定あるいは変動軸力を載荷した状態で水平正負交番載荷および動的正弦波載荷実験を行い,杭体表面に作用する地盤反力および杭体の変形を測定しつつ,杭体が終局状態を迎えて耐力低下する変形レベルまで載荷を行う。実験要因として,杭と地盤の剛性比,軸応力レベル,載荷履歴をパラメータとして,RC杭部材の降伏後の塑性挙動を実験的に明らかにした。杭体の載荷履歴に応じ,周辺地盤の挙動もその履歴に依存して変化し,それが杭体挙動に反映されること,周辺地盤から拘束圧力として作用する土圧は,RC部材の曲げ変形特性を大きく改善するほどの効果は有していないことが明らかとなった。これらの実験によって,後の解析的検討に向けて有用な幅広い範囲の実証データが得られた。 また,上記の実験結果を元に,各種条件下における杭基礎の塑性・破壊挙動を高精度に追跡しうる3次元FEM解析手法の開発に既に着手している(当初計画では17年度実施予定)。現有の3次元FEM解析プログラムは,RC部材単体に対しては,軸方向鉄筋の座屈やかぶりコンクリートの剥落に伴う耐力低下域までの挙動,および地盤中におけるRC杭の弱塑性域(杭体降伏時の数倍程度の変形レベル)までの挙動は,既にある程度検証されており,本研究では特に,強塑性域およびポストピークの耐力低下域における挙動,杭体と地盤との力の伝達特性を精度よく追跡可能な解析手法の構築を目指している。
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