2004 Fiscal Year Annual Research Report
汚染物質の微視的挙動を考慮した地盤汚染対策工の性能評価に関する研究
Project/Area Number |
16760394
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
乾 徹 京都大学, 地球環境学堂, 助手 (90324706)
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Keywords | 重金属 / NAPL / 固化・不溶化処理 / 溶出 / 中性化 / 乾湿繰り返し / 環境リスク / 廃棄物 |
Research Abstract |
本研究では,重金属,有機塩素化合物による地盤汚染問題を対象として,汚染物質の間隙中への溶脱や間隙中での土粒子,粒子状浮遊物質,溶解性化学物質との相互作用といった微視的挙動の評価を目的とした実験的研究を実施する。さらにその結果に基づいて,合理的な地盤汚染対策の考え方,環境リスクの低減効果の高い対策手法を提案することを目的とする。本年度の研究成果は以下の通りである。 (1)固化処理土からの重金属の溶出挙動とその安定性の評価 セメント系固化材を用いて固化・不溶化処理を行った改良土を対象として,実環境における長期間の暴露を想定した長期水浸,中性化,乾湿繰り返し等の各種促進試験を実施し,改良土の物理化学特性の変化と重金属の溶出量を計測した。さらにその結果を数値解析に導入し,中性化,乾湿繰り返しを受けた際の溶出挙動と環境影響を定量的に評価し,環境適合性と適正な適用形態について検討を行った。 (2)間隙中に残存するNAPLの溶解特性と浄化効果の評価 地盤の間隙中に残存するNAPLが間隙水中へ溶解する挙動について数値解析によるシュミレーションを行い,1)地盤中における汚染物質の分布に与える影響,2)浄化を実施した際の浄化効果への影響,を定量的に評価した。数値解析においてNAPL浸透に関する特性曲線のヒステリシスを考慮し,間隙中におけるNAPLの残留を表現するとともに,地盤の不均質性が浄化効果に及ぼす影響について検証を行った。 (3)廃棄物の地盤材料としての利用時の環境リスク評価 廃棄物材料の地盤材料としての有効利用時において懸念される有害化学物質の溶出を対象として,スラグ材料を路盤材として利用した際の環境リスクを各種溶出試験と数値解析を用いて評価した。鉄鋼スラグからはフッ素の溶出が確認されるものの,周辺環境への影響は有意な水準でないことを明らかにした。
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