Research Abstract |
廃棄物による造粒手法は,石炭灰や泥土など様々な再生資源が対象であり,廃棄物が本来有するいくつかの問題点を改善できる。例えば,石炭灰では,重金属の溶出抑制や粉末状の灰と比較して維持管理の容易さ,泥土ではハンドリングの大幅な改善という利点が挙げられ,廃棄物を地盤材料として有効利用を進める上で造粒化は,優位な手法と考えられる。また,人工造粒物であるために,粒子個々の強度は容易に知ることができ,更には,その強度を管理することも可能と考えられる。そこで,本研究では,人工的に造粒した造粒石炭灰を用いて粒子個々の強度と集合体としての強度の関連性,また,石炭灰を造粒化した場合の地盤材料としての力学特性を把握することを目的とした. 造粒石炭灰の粒子強度は自然砂と比較して低いが,強度のバラツキは小さく,また,強度の粒径依存性がないことが分かった.さらに,造粒石炭灰の粒子強度はセメントが配合されていることや石炭灰自身の自己硬化性のために材齢の増加による強度増加が認められた.造粒石炭灰の集合体としての力学特性は,粒子強度が自然砂に比べて低いことから,一次元の圧縮降伏応力も低くなることが分かった.しかしながら,造粒石炭灰は構成粒子の大半が砂分で若干のシルト分を含む粒度を有する材料であるため,粘土のように圧縮に時間遅れは伴わず,即時変形による体積収縮を起こす.三軸圧縮試験によるせん断特性にも,一次元の圧縮特性と同様に粒子強度の低さに起因する収縮変形が大半で,拘束圧が低い地表面付近の応力域において膨張挙動を示すことがわかった.また,そのせん断や圧縮中の収縮変形は粒子の破砕に起因するところが大きく集合体の変形に粒子強度が大きく関与していることが推察された.加えて,内部摩擦角φの拘束圧依存性が確認され,これも粒子強度の影響によるとことが大きいことがわかった.これらの実験事実を利用して,内部摩擦角φや降伏応力Pyと粒子強度との関係に良い相関があることがわかった.繰返しせん断試験を行った結果,造粒石炭灰の繰返しせん断強度は,豊浦砂の繰返しせん断強度の約1.7倍もあることがわかった.この強度発現には粒子の破砕が要因として考えられた.
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