2004 Fiscal Year Annual Research Report
水平地盤の液状化に伴う噴砂と構造物の沈下・浮き上がり被害に関する基礎的研究
Project/Area Number |
16760399
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
山口 晶 東北学院大学, 工学部, 講師 (30337191)
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Keywords | 液状化 / 噴砂 / 水膜 / 振動台 |
Research Abstract |
本年度は,研究補助金により電動振動台を購入し,砂質土地盤の液状化再現実験を行い,噴砂の発生状況を観察し,考察した. 試料としては,細粒分を含むアルバニー磁選細粒砂と豊浦砂を用いた.30cm×20cm×18cmの市販の水槽に水を入れ,高さ17cmまで豊浦砂を投入し,その後アルバニー磁選を所定の厚さに堆積させる.実験条件は,振動回数を変える,上部のアルバニー磁線細粒砂の層厚を変える.傾斜地盤とする,アルバニー磁選細粒砂の層を何層か豊浦砂中に作製する,等の実験を行なった. 実験により,この2層系の地盤が液状化する際に2つのパターンが観察された.上層を締め固めたり上層の層厚が厚い場合水膜が発生し,上層が薄い場合や振動回数が多い場合噴砂が発生した. 考察の結果,これらの理由は次のように考えられる. 1)噴砂が発生するパターン 液状化により間隙水が排水されると上方向に間隙水が流れる.上に透水性の低い層が存在すると,その下部に間隙水が貯留される.そのとき,透水性の低い層が緩い場合,間隙水はこの層を通り抜け砂を巻き込んで地表面に巻き上がる. 2)水膜が発生するパターン 間隙水が透水性の低い層の下部に貯留されるところまでは同様である.上層が締め固まっていたり上載圧が大きいと,砂粒子のかみ合わせがしつかりしているため間隙水が突き抜けることができない.そのため,透水性の低い層の下部に間隙水が貯留され,水膜が発生する. これらの実験より,地盤が液状化しても条件によっては噴砂が発生しないことが確かめられた.2004年新潟県中越地震では,道路の陥没が長期にわたって続いたとの報告があるが,液状化によって発生した水膜が消散した後の空洞が時間の経過により陥没した可能性がある.
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