2006 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動と都市化を考慮した豪雨災害リスク算定に関する研究
Project/Area Number |
16760407
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
大石 哲 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 助教授 (30252521)
|
Keywords | 可能最大降水量(PMP) / 気候変動 / 都市化 / 雨滴粒径分布 / 雨滴落下速度 / TRMM-TMI / 非静力学モデル |
Research Abstract |
本研究では数10分から数時間程度の可能最大降水量の算出を試み,それが気候変動や都市化に与えている影響について考察した.本研究で得られた最大の成果は,実測の雨滴粒径分布の鉛直プロファイルデータを解析することによって,降雨の時間スケール特性を規定している特徴を捉えることに成功したことである.すなわち,1時間を超える時間スケールの降雨を対象にした場合には,降雨量は上空雨水量の総量と正のよい線形相関関係を持つこと,および1時間未満の時間スケールの降雨を対象にした場合には,降雨量は落下速度の鉛直プロファイルによって規定されていることを見いだした.特に,1時間未満の時間スケールの降雨は上空1000mから400mにおける雨滴の落下速度の変化が多きときに降雨量が大きくなる関係を用いて,可能最大降水量を定量化した.一方,1時間を超える時間スケールでは上空雨水量の総量はTRMM-TMIによって算出可能であることを示して,その定量化手法を特定するところまでを検討した. 温暖化ガスの排出に伴う気候変動では,気温上昇によって空気中の水蒸気許容量を増加させたところに上空冷気塊による冷却で水滴化するために上空雨水量が増加し,1時間を超える時間スケールの可能最大降水量は増加するというシナリオが考えられるが,それはTRMM-TMIを使った検討を待たなくてはならない.また,都市化によって高層ビルが増加すると局地風系が形成されることによって,上空1000mから400mでの雨滴の落下速度の変化は大きくなることが予想されるので,1時間以内の時間スケールの可能最大降水量が増大することが考えられるが,それも詳細な数値計算の解析を待つ必要がある.
|
Research Products
(4 results)