2004 Fiscal Year Annual Research Report
意思決定の状況依存性と行動変化に着目した動的な経路選択モデルの開発
Project/Area Number |
16760423
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
倉内 慎也 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90314038)
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Keywords | 交通行動分析 / 経路選択 / 情報提供 / プローブカーデータ / 道路交通シミュレータ / 潜在クラスモデル / 意思決定タイミング |
Research Abstract |
本研究では,ドライバーに対する所要時間情報の提供効果を分析するために,道路交通シミュレータへの組み込みを前提とした動的な経路選択モデルを開発することを目的としている.そこで,本年度は,(1)経路選択モデルの根幹をなす行動仮説とそのモデル化に関する検討,(2)経路選択モデル構築に必要な道路ネットワークデータおよび時刻別リンク所要時間テーブルの作成,(3)動的な経路選択モデルのプロトタイプの開発,の3点に注力して研究を実施した. まず(1)について,経路選択行動は不確実性を伴う膨大な数の経路集合からの選択であることから,意思決定に際して認知負荷の少ない修正辞書編纂型意思決定過程に着目し,主にそのモデル化について検討を行った.その結果,離散選択モデルの枠組みでモデル化を行った場合,重要度の低い属性の推定精度が悪く,一方,データマイニング手法では,推定精度は離散選択モデルより若干劣るものの,推定が容易であり,特に属性の重要度の順位を特定するのに有用であることが判明した. (2)については,平成14年より名古屋都市圏で実施されたプローブカー実証実験から得られたタクシー1500台のデータを用いて作成した.プローブカーから得られた位置情報をデジタルロードマップにマッチングし,最大で5分刻みのリンク所要時間テーブルを作成した. (3)について,情報提供効果の分析においては,ドライバーがどのようなタイミングで経路変更の意思決定を行うのか明示的に考慮することが不可欠であるとの認識から,上位に経路途上の各ノードにおける意思決定の有無,下位に各ノードから目的地までの経路選択を持っ動的な経路選択モデルを,潜在クラスモデルの枠組みで構築した.(2)で作成したデータを用いてモデルの推定を行った結果,ドライバーは平均走行速度が低下した場合などに意思決定を行う傾向があるなど,意思決定の発生は交通状況や走行履歴に依存することが確認された.
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