2005 Fiscal Year Annual Research Report
社会的技術選定プロセスのデザイン-都市河川の水質改善を対象として
Project/Area Number |
16760424
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
秀島 栄三 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (50243069)
|
Keywords | 市民参加 / 合意形成 / 水質浄化 / 河川整備 / 技術経営 / 土木計画 |
Research Abstract |
本研究では、都市河川の水質改善に関わる市民参加を対象として関係者間で利益得失、関与度、時間、目的の設定等が極めて分散している状態から一つの結論を導き出すプロセス、特に技術代替案を比較評価し、選択決定するプロセスに焦点を当て、そのプロセスの合理性について考察する。具体的には様々な市民参加の場面に立ち会い、討議等のプロセスを観察する一方、実験的な討議の場を通じて参加者の知識と選好、プロセスの合理性、具体的には手続き的な効率性、公平性、諸結果への到達可能性などの評価基準により、集団的な技術選択プロセスのあるべき姿を模索する。これにより経験者や発言力の強い者にいたずらに左右されない社会基盤整備、都市計画の計画策定の場づくりのための方法論構築を目的とした。 平成16年度は、個々人において知識と選好が適切に区分けされて判断がなされているか否かを把握のためにコンジョイント分析法を用い、技術的代替案の選好順位づけの回答から評価基準(即効性、広汎惟、事後作業の手間)の重要度を求め、これと被験者の諸属性(居住地、関心度等)との対応関係を明らかにした。約500名を対象とした調査を行い、問題対象(河川)を知る人は発現時期と事後作業を重視、浄化技術を知る人は事後作業を重視、市内在住者は発現時期を重視する、などの傾向に関する結果を得た。本手法により技術的代替案を選択する際に一般的市民による選好評価だけでなく、選択結果とその動機の関係を把握することが可能となり、意思決定に際してより多くの参考情報を得ることが可能となるといえる。 平成17年度は、一般公募した被験者を対象として特定河川の水質問題に関して討議してもらい,これを時間軸上に記録することにより,議論プロセスの一般的傾向,専門知識に関する情報提供が議論に与える影響などを考察した.本実験の成果については平成18年度に公表する予定である.
|