2004 Fiscal Year Annual Research Report
運輸部門からのCO_2排出削減目標達成のための政策パッケージの検討
Project/Area Number |
16760433
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
谷下 雅義 中央大学, 理工学部, 助教授 (30242001)
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Keywords | 運輸部門 / 課税 / 規制 / 社会資本整備 |
Research Abstract |
本研究はCOP3で政府が目標として掲げている,運輸部門からのCO2排出を1990年比+17%以内に抑えることを制約条件として,社会的厚生水準を最大とするような課税,規制及び税収の使途としての社会資本整備からなる政策パッケージを提案することを目的としている.CO2の排出削減には,自動車の保有・使用の抑制と燃費(輸送距離あたりのエネルギー消費量)の改善という2つの方策がある.本研究はそれらを個別に検討するのではなく,それらの間には相互作用があること,たとえば,保有・使用が抑制されれば,道路混雑が緩和されるため,燃費が向上する.また逆に単体燃費が向上すると,使用コストが低下することから保有・使用が増大する可能性があること,を考慮する点に特徴がある. 本年度は乗用車および貨物車に関する価格弾力性やモデリングに関する先行研究のレビューを行うとともに,規制の一つとして土地利用規制を取り上げ,人口密度と交通量・交通エネルギー消費量との関係の分析を行った.価格弾力性については,所得の増大とともに低減傾向になることを日本の家計調査および世界の都市の交通エネルギー消費量データを用いて明らかにした.またモデリングについては,自動車技術とそのコストに関して研究はあるものの,それを税制や社会資本整備と組み合わせて分析している研究はほとんど見られないことを示した.最後に人口密度に関しては,都市間,都市内ともに人口密度弾力性は0.3-0.5程度であり,所得水準が高い場合には,価格弾力性よりも大きい可能性があることを示した.
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