2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規エストロジェン分解細菌を活用したエストロジェンの活性汚泥処理能力の向上化
Project/Area Number |
16760440
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗栖 太 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (30312979)
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Keywords | エストロジェン / Sphingomonas / Rhodococcus / エストロン |
Research Abstract |
本研究の最終目標は、下水処理工程においてエストロジェン除去率を向上させることである。各種エストロジェンやその抱合体といった物質間の物質転換、および分解経路を調べ、それぞれの分解を担う細菌についての情報を得、各種エストロジェンの活性汚泥中における生分解特性を把握することが目的である。今年度は以下の検討を行った。 1)単離された分解細菌によるエストロジェン分解特性の解析と分解中間産物の同定 分離菌株3菌株の休止菌体を用いて、エストラジオールおよびエストロンを分解させ、分解中間産物の分析をガスクロマトグラフ質量分析計を用いておこなった。その結果、6-keto-E2,4-OH-E2および4-OH-E1の3物質が中間産物として標準物質を用いて同定され、さらに多くの物質がマススペクトルパターンから推定された。これらの産物より、エストロゲン分解経路としてこれまでに報告のあるA環からの酸化開裂(メタ開裂)が示されただけでなく、B環への酸化(飽和環の酸化)を示唆する産物を同定することに初めて成功した。これまでに活性汚泥での分解でD環への酸化も報告されており、エストロジェンの酸化分解経路の多様性を示す結果となった。 2)分解細菌の系統学的多様性について 保有する3菌株が属するSphingomonas属およびRhodococcus属の細菌あわせて23種の標準菌株を菌株保存施設より購入し、エストロジェン分解能を評価した。その結果、両属とも一部の標準菌株にエストロジェン分解能があることが確認された。その分布はエストロジェン分解菌として分離された菌株との類縁性にも関係がある可能性が示された。
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