2004 Fiscal Year Annual Research Report
環境中での農薬の光/微生物分解に伴う遺伝子毒性の変動
Project/Area Number |
16760442
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松下 拓 岐阜大学, 工学部, 助手 (30283401)
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Keywords | 光分解 / 農薬 / 変異原生 / 分解生成物 / Ames試験 / 殺虫剤MEP |
Research Abstract |
今日までに農薬の分解生成物に関する多くの研究がなされており、そのうちのいくつかの物質については変異原性が調べられている。しかし、分解過程での毒性変動について論じる場合、すべての分解生成物を個々に評価し、変異原性に寄与する物質を特定することは極めて困難である。したがって、分解試料の変異原性の総括的評価に留まっているのが現状である。そこで本研究では、試料に含まれる分解生成物をHPLCによって分離し、それぞれのフラクションに対して変異原性試験とGC/MSによる分解生成物の同定を行い、これらを組み合わせることで、変異原性に寄与する物質の特定を試みた。本年は、特にFenitrothionの光分解について検討した。 その結果、光分解によってFenitrothionがほぼ完全に消失したにも関わらず、YG1024株に対する変異原性は増加することがわかった。すなわち、Fenitrothionが光分解することにより、変異原性を誘発する物質が生成されたことがわかった。また、この試料をHPLCにより分画することにより、変異原性の増加に分子量259,249,273の物質が寄与していたのではないかとの推測が可能となった。このように,本研究では,検出された数十種類の生成物の中から,変異原性増加に寄与している可能性のある物質を3つに絞り込むことができ、HPLC分離と変異原性試験/GC/MS分析の組み合わせの有効性が示された。
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